高齢者の背中が丸くなる「老人性円背(ろうじんせいえんぱい)」 どんな病気?
人は年齢を重ねると身体が衰えてきます。そうした衰えは外見にも変化をもたらします。そのひとつが「曲がってしまった腰」です。この状態を「老人性円背」(ろうじんせいえんぱい)と言います。今回は、「老人性円背」について解説いたします。
【老人性円背】ってなに?
高齢者の背中や腰が「大きく曲がった状態」のことを指します。女性に多く見られます。
具体的な症状
● ひどい痛みを感じることは少ない
● 背筋を正す時は要注意!
(背筋の骨折、脊椎損傷に至ることも)
原因はなに?
骨密度が低い
骨密度は「加齢」によって減少することが既に確認されており、その減少率が男性よりも女性の方が大きいと言われています。
骨密度が低い状態で無理に力を入れると「圧迫骨折」を誘発します。
「骨粗しょう症」は要注意!
● 痛みを特に感じない
●「骨折」した実感がない
上記のまま、次第に腰が曲がっていきます。
本人は、自然な老化現象という認識を持つかも知れません。
治療法はあるの?
□カルシウムの摂取
カルシウム摂取を心がけ、骨を丈夫にすることで「圧迫骨折」を防げるようになります。
ビタミンD・マグネシウムはカルシウムの吸収を良くする作用があるため、一緒に摂るとより効果的です。
□筋肉をほぐす、適度な運動
背中が曲がった状態で無理に背筋を伸ばそうとすると、さらに悪化する恐れがあります。
そのため、上半身の筋肉・骨格をほぐす運動を取り入れていきましょう。
ムリのない範囲で、胸を張ったり背中を伸ばしたりする動きを行い、可動域を広げていくのが効果的です。
□サポート器具の活用
正しい姿勢を保つため、コルセットやサポーターを活用するのも良いでしょう。
また、背中が曲がってしまったお年寄りの骨盤と背骨を支え、楽な姿勢で座らせてくれる椅子もあります。
ご家族様と一緒に探してみるのも良いですね!
介護をするときの注意点
老人性円背において、痛みが出る箇所は「首回り・腰回り」です。
実際に介護をする際は、痛みのある箇所に注意を払いながらゆっくり行いましょう。
身体に力が入る動きの際には、サポートをしながら、背中に負担がかからないように注意!
老人性円背になると、腰をかがめた姿勢になるので視界が低く、上部への注意が疎かになりがちです。
歩行の際は上部への注意を払い、室内では頭上に物を置かないようにしましょう。
まとめ
「老人性円背」は、高齢者特有の症状ではありますが、それだけに予防もできます。日頃からカルシウムを多く摂ることで、骨密度を高くするように食生活を心がけ、 適度な運動を行い「身体を鍛える意識」が必要です。「いつまでも元気でいてほしい」というご家族の思いが、高齢者をやる気にさせ、 病気の予防に対して、より一層の関心が強くなります。