コラム2020/09/15
転ばぬ先の杖~データが示す介護の実情と費用~
転ばぬ先の杖~データが示す介護の実情と費用~
介護保険制度における65歳以上の要介護者等は年々増加しており、2017年度末で約628万人となっています。75歳以上になると第1号被保険者に占める要介護者の割合が23.3%、要支援が8.6%で、合わせると約3人に1人が要介護認定を受けているという状況です。
人生100年時代に突入していく今、現時点での介護の実態はどうなっているのでしょうか。
本日は、厚生労働省などの調査資料から、介護負担に関しての実態を見てみましょう。
介護を行うのは誰?
令和2年の高齢社会白書によると、介護をしているのは同居の家族が6割弱で、その内訳は配偶者が25.2%、子が21.8%、この配偶者が9.7%となっています。
また、男性が34.0%に対して、女性が66.0%と女性が介護者になるケースが多いことが見て取れます。
介護にかかる時間は?
では、介護にかかる時間はどうでしょうか。同居家族の1日の内、介護にかかる時間は、「必要な時に手を貸す程度」が44.5%と最も多く、一方で、「ほとんど終日」も22.1%という結果になっています。
要介護度別では、要支援1から要介護2までの場合、「必要な時に手を貸す程度」が最も多く、要介護3以上になると「ほとんど終日」が最も多くなります。
在宅介護と施設利用の状況は?
厚生労働省の「介護保険事業状況報告(月報・暫定)」(令和2年6月分)によると、在宅で介護または介護予防サービスを受けた人は383.7万人、施設でサービスを受けた人は95.4万人でした。
また、同省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況」では、在宅でサービスを受けているのは要介護1と要介護2の人が多く、介護老人福祉施設や介護療養型医療施設といった施設の在所者では要介護3以上が9割超となり、要介護4と要介護5の人の占める割合が高くなっています。
介護にはいくらかかる?
では介護には一体いくら必要なのでしょう。公益財団法人 生命保険文化センターが過去3年間に介護経験がある人に行った調査によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用含む)は、住宅改修や介護用ベッド購入などの一時費用の合計が平均69万円、月々の費用が平均7万8千円となっています。
もちろん、月々の費用は在宅介護か施設介護かで必要額は大きく変わります。一番はやはり住居費です。在宅であれば必要ない住居費が、施設を利用すれば必要となってきます。また、施設でも、介護保険対象施設とそうでない施設、公的施設か民間施設かでも利用料金は全く異なりますよね。
特養か、有料老人ホームか、要介護度、医療依存度などにより大きく変動します。
まとめ
今回は、介護の実情と費用についてのデータをご紹介しました。2016年の厚生労働省の調査によると、平均寿命と健康寿命の差は、男性で8.84年、女性で12.35年となっています。将来介護が必要になった時の為の備えをすることと同時に少しでも長く健康でいられるよう健康的な生活を送ることも大切ですね。