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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

地域内での医療と介護の密な連携を目指す

コラム2020/06/01

地域内での医療と介護の密な連携を目指す

地域内での医療と介護の密な連携を目指す

“地域包括ケアシステム”という言葉はよく耳にする言葉ではありますが、地域包括システムと一体何なのでしょうか?国は一体何を目指して、何を作ろうとしているのでしょうか?今回は、改めて地域包括ケアシステムについて考えてみたいと思います。

きっかけは国民の「自宅療養」の希望から

2019年の年間死亡者数は約137万人でした。一方、2040年は「2040年問題」とも呼ばれ、年間死亡者数がもっとも多くなると予測されています。その年の年間死亡者数は約167万人にもなると推計されており、その差は約30万人です。
現状でさえも救急医療を中心に医療従事者への負担が重くなっています。もしこのまま何の手も打たなければマンパワーの面でも、国の財政面でも日本の医療が崩壊してしまうことが危惧されています。
このような現状がある中、厚生労働省は国民が希望する終末期の療養場所に「自宅」を選択する方が増えてきたことに目をつけ、2025年までに地域包括ケアシステムを構築することを目指すこととなりました。

地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアシステムとは、「地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制」のこととされています。
具体的には、次の5つの視点について、各自治体が強化していくことになります。

◆医療介護の連携の強化
24時間対応の在宅医療、訪問看護やリハビリテーションの充実強化。介護職員(ヘルパー)による喀痰吸引などの医療行為の実施。

◆介護サービスの充実強化
特別養護老人ホームなどの介護拠点の緊急整備。24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設など在宅サービス全体の充実強化。

◆予防の促進
できる限り要介護状態とならないための予防の取り組みや自立支援型の介護の促進。

◆見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など
独居、老々介護を含む高齢夫婦のみの世帯の増加、認知症の増加を踏まえ、様々な生活支援(見守り、配食などの生活支援や財産管理などの権利擁護)サービスを推進。

◆高齢者になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備

元気な高齢者の“ひとりぼっち”も要注意!

上記の5つの中には、介護が必要な高齢者へのケアにとどまらず、元気な高齢者に役割を与えて、地域に貢献してもらうことも含まれています。
要介護認定を受けて介護サービスを受けている高齢者は、様々な医療・介護サービスを受けることができるため、居場所をつくってもらいやすい(一概にそうとも言い切れませんが…)。そういったことから、意外にも“ひとりぼっち”のリスクが高いのは、比較的元気な高齢者と言われています。
そこで政府は、先日ご紹介した「通いの場」の強化など、より多くの高齢者に自分にあった“居場所”を提供し、それぞれの役割を持ってもらえるよう策を講じています。

地域包括ケアシステム構築のための3つのプロセス

老人ホーム検索サイト「みんなの介護」より、「地域包括ケアシステム構築の3つのプロセス 」を抜粋して、ご紹介します。
国は各自治体に対して、地域包括ケアシステムを構築する際に行うべき3つのプロセスを示しています。

地域の課題の把握と社会資源の発掘

各市町村が日常生活上のニーズを調査します。地域で暮らす高齢者がどのような課題に直面しているのかを調査し、それに対する解決策として提供すべきサービスを考えていきます。また「地域ケア会議」を開催し、事例検討などを行うことで地域内の課題の把握と分析を行います。
さらに、医療や介護サービスの担い手となってくれる地域内のボランティア団体や団体をはじめ、商店や町内会を発掘し把握することも必要です。

  • 地域関係者による対応策の検討

最初の段階で個別事例ごとに行われた地域ケア会議ですが、この段階では地域内の関係者全体が課題を共有し、検討するために、地区町村レベルの地域ケア会議が行われます。市区町村レベルの地域ケア会議には役所の職員をはじめさまざまな地域関係者が参加し、地域内に共通して生じている課題を抽出したうえで、それを政策につなげるための具体策について議論されるのが通例です。
地域の課題を総合的に分析し、その解決に向けて社会資源の開発を行うなど、ケアシステムの構築を目指すための地域づくりが行われる段階です。

  • 対応策の決定と実行

地域ケア会議で検討された課題への具体的な策を決定し、介護保険事業計画に盛り込んでいくことが、地域包括ケアシステムの構築に向けた最後の段階です。ニーズに見合った支援サービスのメニューを整備し、必要に応じて各種サービスの事業化や施策化なども行われていきます。いわば、自治体レベルの政策形成と実行の段階です。

この最終段階を経て、地域の実情に合わせた地域包括ケアシステムが実現されていきます。

まとめ

今回は地域包括ケアシステムについてお話をさせて頂きました。地域包括ケアシステムの構築の為には、やはり医療と介護の連携強化による切れ目のない医療・介護サービス提供が必要になることは間違いありません。
また、現場レベルで実効ある形で推進するためには、多職種の専門性を尊重しつつ、高齢者の生活を柔軟に継続支援可能なしくみを地域ごとに構築していくことが重要でしょう。