コラム2020/05/19
最近相談が増えています 精神疾患?それとも認知症?
最近相談が増えています 精神疾患?それとも認知症?
以前、三大認知症についてお話しましたが、改めて各認知症についての特徴などをご紹介致します。精神疾患かも?とご相談いただくことがある中で、実は認知症の症状であったということも少なくありません。今回を1つの機会として、改めて認知症について学びなおしてみませんか。今回は、大元である、認知症についての内容になります。
認知症とは
認知症とは、以前は「痴呆症」と呼ばれていた状態のことです。認知症とは、生後正常に発達した知的水準が何らかの原因で著しい低下をきたし、日常生活・社会生活ができなくなった精神状態です。
具体的には、記憶障害(物忘れ)、見当識障害(時間、日付、場所などがわからない)、判断力障害、理解力障害、計算力障害、抽象思考障害(言葉やことわざの意味が分からない)、高度大脳皮質機能障害(失語、失行、失認)、感情障害(感情失禁、うつ、躁など)、行動障害(徘徊、攻撃性、不潔行為、過食、拒食、異食、性的逸脱行為、火の不始末など)、注意の障害、人格(性格)の変化などの障害が起こることなので、一種の症候群とも言えます。
このようなことが起こった結果、職業・社会生活・対人関係などの支障が生じます。
(注)
失語…言葉の表現と了解ができないことで、運動失語(うまくしゃべれない)、
感覚失語(意味が分からない)などがあります。
失行…手足に障害がないのに、動作が正しくできないことで、着衣失行、
構成失行などがあります。
失認…視覚、聴覚、触覚に異常がないのに、よく知っていることが認識できないことで、
視覚失認や聴覚失認などがあります。
認知症になる原因は
日本ではアルツハイマー病が約70%(欧米では70~80%)、血管性認知症が約20%の割合であるということが、厚生労働省研究班調査結果よりわかっております。
その他、レビー小体病、前頭側頭型認知症(ピック病、運動神経疾患を伴う認知症など)、クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)、ハンチントン病、パーキンソン病、HIV脳症(エイズ)、脳外傷後脳症(高次機能障害)、正常圧水頭症、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、VitB1欠乏症、VitB12欠乏症、頭蓋内放射線照射など、100以上の病気があります。
また、本当の認知症ではない仮性認知症(うつ病)もあります。
認知症の原因となる病気によって異なるケアについて
例えば、アルツハイマー病、血管性認知症、脳外傷性脳症、脳腫瘍などでは、病気の性質・症状・進行等は著しく異なり、治療法だけでなく、リハビリテーションやケアの仕方も異なってきます。
原因となる病気にあったケア「疾患別ケア」で、しかもご本人に合ったケア「個別ケア」であることが「理想的なケア」になります。
まとめ
今回、認知症について簡単に記載しました。精神状態であったり、原疾患であったりと認知症と言えど多種多様であることを知って頂けたのではないでしょうか。認知症という言葉が普及してきたものの、あいまいな部分も増えてきていると思います。認知症を疑うときは認知症専門外来を受診するなど、早めの行動、早めの対策を試みてはいかがでしょうか。次回は、認知症の70%もの原因になるアルツハイマー病についてお話致します。