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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

介護ベッドの上手な選び方

コラム2020/03/31

介護ベッドの上手な選び方

介護ベッドの上手な選び方

被介護者、介護者にとって、重要な役割を果たす「介護ベッド」ですが、機能や種類を上手く選べるか不安な人もいるのではないでしょうか。また、レンタルと購入どちらがよいのかも気になるポイントですよね。今回は、「介護ベッドを使うメリット」、「介護用ベッドを選ぶときの注意点」、「レンタルと購入の費用比較」についてお話させていただきます。

介護ベッドを使うメリットって?

被介護者にとってのメリット

介護ベッドを使うと、自力で体を起こしたり、体の向きを変えたりすることが難しい被介護者でもそれらの動作をしやすくなり、ベッドから降りたり、車椅子へ移動したりすることも簡単になります。寝たきりの被介護者にとっては、背中や膝を押し上げてくれる機能のおかげで、体を動かせなくても血流を良くし、ずっと同じ姿勢で寝たきりになってしまうのを防げます。

介護者にとってのメリット

介護者にとっても、負担が軽減されるというメリットがあります。ベッドの高さや角度を変えることで介助がしやすくなり、腰をかがめるなど、無理な体勢での介護をしなくても良いため、体にかかる負荷を小さくできます。
介護者の負担が軽くなることにより、「迷惑をかけて申し訳ない」「何度も呼ぶと嫌な顔をされそうだから、我慢しよう」といった被介護者の精神的負担も軽減されます。

介護用ベッドを選ぶときに注意したい5つのポイント

1.リクライニング機能は、要介護者の体の状態や症状に合わせる
自力で起き上がることが難しい方の場合は、もちろんリクライニング機能が充実している介護ベッドが必要です。しかし、自力で起き上がることができる方の場合は、リハビリも兼ねて極力自分の力でおこなってもらうために、それほどリクライニング機能を充実させる必要はないでしょう。 安直にリクライニング機能を充実させるのではなく、要介護者の体に合わせたベッドを選択しましょう。

2.マットレスの固さに気をつけて安らげる空間を
機能が良い介護用ベッドでも、マットレスの硬さが認知症の方の好みに合っていなければ、十分な睡眠がとれず症状が悪化してしまう可能性も考えられます。 1日の中でも長い時間を過ごす介護用ベッドは、認知症の方が安心して休むことができるようにマットレスや布団を本人の好みに合わせて用意するべきでしょう。床ずれの可能性もあるので、十分に気を使う必要があります。

3.手すりをつけて立ち上がるときのサポートを
自分の力でできることは本人がおこなうのが一番良いですが、自力で起き上がる、立ち上がるといったときには手すりが必要となります。手すりにつかまりながらでも起き上がること、立ち上がることができたら高齢者の方にとって大きな自信につながるのではないでしょうか。 手すりを使って日中、自分で運動することで快適に眠れるという効果もあります。昼夜逆転の生活となっている場合は取り入れてみても良いでしょう。

4.サイドレールの位置に気をつけて転落を防止
転落による事故を防ぐために、手すりやサイドレールの位置には気を付けましょう。頭から落ちたら最悪の場合、死につながりますし、足から落ちた場合でも骨折などの危険性があります。 特に認知症の方の介護の場合は転落への注意が必要です。なぜなら、認知症の進行により短期記憶が損なわれ、自分がベッドではなく布団に寝ていると勘違いしてベッドから転落してしまうというケースがあるからです。

5.介護者も使いやすい介護用ベッドを選ぶ
介護用ベッドは、介護を受ける方のためだけに存在するわけではありません。介護者にも負担が少なく、取り扱いやすいものでなければ、意味がありません。 「リクライニング機能の操作がわかりやすい」「高さの調節ができて介護者の腰の負担が少ない」など、どのような介護用ベッドが使いやすく、負担にならないかを介護者目線でイメージしておくといいでしょう。

購入とレンタルの費用比較

介護ベッドの購入は、介護保険が適用外となるため、全額自己負担になります。例えば、背上げ、高さ調節、膝上げの機能が備わっている「3モーターベッド」は、10万円以上するものがほとんどです。
一方、レンタルの場合は、要介護度2以上の人であれば、料金の1~2割のみが自己負担となります。月に800円~1300円程度です。高額な介護ベッドを購入するのが難しい場合や購入する前にいくつかベッドを比較して試してみたい、介護度が上がるペースを考慮し、状況に応じてベッドを選びたいなどの方には、レンタルがおすすめです。

まとめ

被介護者、介護者ともに少しでも快適な暮らしを送るためには、介護ベッドを賢く選び、金銭的な負担を軽減することも大切になります。購入した方が気兼ねなく、新品や高性能のものを使用できるかもしれませんが、レンタルの方が安く利用できる上に融通が利きます。最終的にどちらがいいかは利用者の判断になりますが、費用を抑え、介護対象者に合わせた介護ベッドを使っていくにはレンタルの方がお得といえそうです。