在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/07/27
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在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/07/27
大腿骨近位部骨折術後の歩行能力低下と転倒不安により、外来通院の継続が困難となった89歳独居女性に対し、訪問診療を導入した事例である。在宅医療では、高血圧と心房細動の管理を継続するとともに、訪問リハビリや福祉用具事業所と連携し、歩行状態、転倒リスク、活動量、住環境を評価した。ケアマネジャーにとっては、骨折後の身体機能だけでなく、転倒への恐怖や自信の喪失が閉じこもりや廃用を招く可能性を捉え、安全に動ける環境を整えることが重要となる症例である。
年齢・性別:89歳・女性
居住地:名古屋市北区
世帯構成:独居
キーパーソン:長女(別居)
医療保険:医療保険利用
介護保険:要介護2
・大腿骨近位部骨折術後
・高血圧
・心房細動
夫を亡くした後も一人暮らしを続け、高血圧と心房細動のため定期通院していた。近隣への買い物も自分で行い、比較的自立した生活を送っていた。
自宅内で転倒し、大腿骨近位部骨折を受傷した。手術と回復期リハビリを経て退院したが、歩行能力は受傷前の状態まで回復せず、杖歩行が必要となった。
身体機能低下に加えて転倒時の恐怖が強く残り、再び転倒することへの不安から外出機会が急激に減少した。それまで継続できていた通院についても、予約変更や受診延期が増えていた。
別居する長女が通院に付き添っていたが、仕事と育児を抱えており、継続的な対応には限界があった。本人は日中も椅子に座って過ごすことが増え、活動量低下によるさらなる筋力低下も懸念された。
疾患管理を継続し、通院困難によって医療との接点が途切れることを防ぐとともに、骨折後の生活再建を支援する目的で訪問診療導入に至った。
訪問診療開始後は、血圧、脈拍、服薬状況などを確認し、高血圧と心房細動の管理を継続した。あわせて、歩行状態、活動量、転倒の有無、日常生活の変化を確認した。
訪問リハビリと連携し、歩行能力、転倒リスク、屋内外での活動状況を継続的に評価した。福祉用具事業所とも協力し、手すりの設置や自宅内の動線改善を行い、安全に移動できる環境を整えた。
本人は、再び転倒するくらいなら動かない方がよいと考えていたため、動かないことで筋力や生活機能がさらに低下する可能性を説明し、安全な方法で身体を動かすことの重要性を繰り返し共有した。
長女とも定期的に情報共有し、通院介助や生活支援が過度な負担とならないよう役割を調整した。訪問診療によって医療との接点が安定し、訪問リハビリも継続できるようになったことで、徐々に自宅周辺への散歩を再開できるようになった。
大腿骨近位部骨折術後、高血圧、心房細動
・血圧、脈拍および服薬状況の継続的確認
・高血圧および心房細動の慢性疾患管理
・骨折術後の歩行状態と身体機能の評価
・転倒リスクおよび活動量の確認
・訪問リハビリと連携した運動機能維持支援
・福祉用具事業所と連携した住環境整備
・転倒不安と活動意欲低下への心理的支援
・長女の通院介助負担を踏まえた支援体制調整
該当なし
・骨折後は歩行能力だけでなく、転倒への恐怖や外出意欲の変化を確認する
・通院延期が増えた段階で、医療との接点が途切れる前に訪問診療を検討する
・本人の「動かない方が安全」という認識を否定せず、安全に動ける方法を具体的に提示する
・訪問リハビリと連携し、歩行状態、活動量、外出状況を継続的に評価する
・手すりや動線改善など、本人が自宅で実際に動ける住環境を整える
・別居家族の仕事や家庭状況を確認し、通院介助や生活支援の負担を外部サービスへ分散する
本症例は、大腿骨近位部骨折後の身体機能低下に加え、転倒への恐怖と自信の喪失が、閉じこもりや通院困難につながっていた事例である。
骨折後に歩行が可能となっていても、本人が再転倒を強く恐れている場合、活動量は急速に低下する。動かない状態が続けば、筋力低下や生活機能低下が進み、さらに転倒しやすくなる悪循環に陥る可能性がある。
本症例では、訪問診療によって慢性疾患管理を継続しながら、訪問リハビリと住環境整備を組み合わせ、安全に動ける経験を積み重ねた。ケアマネジャーにとっては、骨折後支援を身体機能の回復だけで捉えず、本人が失った自信を取り戻し、再び生活範囲を広げられるよう支援する視点が重要である。
・診療科:内科、循環器内科、整形外科
・病態・症状:その他
・世帯構成:独居
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