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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

新型コロナウィルス最新情報および感染経路に応じた予防方法

コラム2020/02/23

新型コロナウィルス最新情報および感染経路に応じた予防方法

新型コロナウィルス最新情報および感染経路に応じた予防方法

新型コロナの影響で、今まで以上に感染対策への関心が高まっており、マスクや消毒液の品薄が続いております。27日から経産省ではマスクの生産状況など掲載を始めています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/mask.html

また、宮本先生が在宅診療、特に居宅訪問に関わるすべての医療者向けに「COVID-19の診療や予防について注意するべきこと」について、わかりやすくまとめられておりますので、下記ご参照ください。
https://www.slideshare.net/mimonism/covid19-229222806?next_slideshow=1
手洗いうがいを気にする人が増えたため、インフルエンザにかかる人が激減しているとまで言われていますが、今回は、感染経路について改めてまとめさせていただきます。

感染経路の種類って?

よく聞くものだと、接触感染、飛沫感染、空気感染ではないでしょうか。これら以外にも感染経路は様々なものがあります。例えば垂直感染や経口感染などです。それぞれの感染経路について解説させていただきます。

接触感染(直接感染)

皮膚や粘膜の接触、または医療従事者の手や聴診器などの器具、手すりやドアノブなど、患者周囲の物体表面を介しての間接的な接触で病原体が付着し、その結果感染が成立するものです。よく知られている感染症はノロウイルスによる急性胃腸炎や流行性結膜炎、風疹、肝炎、ヘルペスなどが挙げられます。
菌やウイルスが付いた手で物を食べたり目をこすったりすれば感染するおそれがありますし、キズ口や粘膜に直接触れていなくても、手すりや便座などに菌やウイルスが付いていれば、それに触れることによって感染が広がるおそれがあります。

<情報>
伝染性膿痂疹など皮膚疾患や流行性角結膜炎など眼科疾患が代表的
疥癬をはじめ、精液を介した性感染症(梅毒、風疹、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス感染症、ヘルペスウイルス感染症、B型肝炎、AIDSなど)の多くも含まれる
医療現場ではMRSAなどの薬剤耐性菌の伝染の主要な経路である
その他、狂犬病、鼡咬症、エボラ出血熱、破傷風、ガス壊疽など

介達感染

汚染されたものなどを媒介として感染するものです。今ではほとんど見かけないナースキャップが廃止されたのも関係しますよね。
(毎日洗濯できれば問題ありません)
<情報>
食中毒、ジフテリア、B型肝炎、結核など

飛沫感染

患者の咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引などによって飛散する体液の粒子(飛沫)は、時に病原体を含んでいるが、これが他人の粘膜に付着することで感染が成立します。よく知られている感染症は、風邪・インフルエンザ・ジフテリア・チフスなどが挙げられます。

<情報>
5マイクロメートル以上と、大きく重いものは3フィート未満しか到達しない
風邪やインフルエンザを始め、上気道炎症状を伴うウイルス感染症(RSウイルス、ジフテリア、猩紅熱、発疹熱、発疹チフス、風疹など)の多くや細菌性肺炎が代表的
SARSやMERSの原因となったコロナウイルスについても、この経路が主体だと考えられている

エアロゾル感染

エアロゾルとは、飛沫よりも小さな粒子のことです。エアロゾルはくしゃみ等によって発生する飛沫とは区別されており、すぐに床面などに飛散することはないです。また、水分を含むため飛沫核のように長距離を移動することなく、同じ空気中に一定の時間漂うことが主な特徴とされています。エアロゾル感染は、密閉された空間において長時間・高濃度のエアロゾルにさらされた場合に起きるとされており、限定された条件下で発生しやすいという点で通常の空気感染とは異なります。

<情報>
ただしこの用語は専門的なものではない

飛沫核感染(空気感染、塵埃感染)

飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5マイクロメートル以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、3フィート(91センチメートル)以上の長距離を移動します。呼吸により粒子を吸い込むことにより感染を生じます。埃と一緒に、ウイルスを吸い込む場合でもなります。
飛沫感染と飛沫核感染は病室管理上、区別する必要があります。飛沫核感染する、治療法のない強感染性・強毒性の病原体に感染した患者は、フィルターをもった独立した排気経路のある陰圧室での隔離療養が理想です。

<情報>
麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう)・天然痘・結核が代表的
コロナウイルスでも可能性が示唆されている
ノロウイルスも後述する経口感染が主体ではあるが、飛沫核感染も起こり得る

唾液感染

唾液の中に生息する病原体が口移しやディープキスなどで唾液を介して感染が成立します。 臨床感染経路分類論では歯垢感染と呼気感染は経口感染に入りますが、唾液感染は入りません。虫歯の経験がある親から口移しやキスをせずに3歳まで育てられれば、お子さんは虫歯にならないんですよ。

<情報>
虫歯菌
EBウイルス

経口感染(水系感染、水系流行)

感染動物由来の肉や、糞便で汚染された水などの経口摂取により感染が成立します。今は薬で対処できるピロリ菌も、昔は井戸など浄水されない水を飲んでいたからなっていたと言われていますね。

<情報>
前者の例としてBSE、後者の例として腸管出血性大腸菌(O157など)、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、ボツリヌス菌、サルモネラ、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、コレラ、カンピロバクター、リステリア、ピロリ菌、アメーバ赤痢、ノロウイルス、ロタウイルス、ポリオ、A型肝炎、E型肝炎、ワイル病、角結膜炎など。

ベクター感染(水平伝播)

他の動物(特に節足動物)が媒介者(ベクター)となって、伝播することで感染が成立するものです。
(1) その病原体の生活環の一環として、ベクターの体内で発育、増殖し、そこから感染する場合(生物学的伝播)と、
(2) 単にベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播される場合(機械的伝播、機械的ベクター感染) とがあります。
<情報>
(1) の例は、カによるデング熱や日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱、マラリアなどの昆虫媒介感染症、ダニによるクリミア・コンゴ出血熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の媒介、シラミによる発疹チフスの媒介、ネズミによるラッサ熱、南米出血熱、ハンタウイルス、ペスト、腸チフス、パラチフス、サルモネラなどの媒介。
(2) の例は、ハエによる腸管出血性大腸菌や赤痢菌の媒介、鳥インフルエンザの鶏舎間媒介。

血液感染(交差感染)

注射や輸血、歯科治療といった医療行為の他、外傷による出血が他者の目など粘膜に触れるなどして、血液中の病原体が感染を生じます。注射針の使いまわしなどでB型肝炎が拡大したこともこれに当たります。

<情報>
HIV、B型肝炎、C型肝炎、クロイツフェルト・ヤコブ病が代表的
大量の曝露があれば梅毒も考慮される

母子感染(垂直感染)

いくつかに分類されます。胎内感染(経胎盤感染・経羊水感染): 胎盤を通る血液を通じて感染。風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルスなど。
産道感染(経膣感染): 出産時の出血や皮膚の擦り傷を介して感染。B型肝炎やHIVなど。
母乳感染: HIVや成人T細胞白血病ウイルス(HTLV)など。

予防方法は?

手洗い
人が罹患する要因の多くは、手に付着した病原微生物(細菌・ウイルス等)が物品に付着し、そこからまた手を介して鼻や口、目から体内に入ることです。多くの病原微生物は、電車のつり革・手すり・エレベーターボタン・ドアノブを介して手から手へと拡がり、それが感染拡大のきっかけとなります。つまり、手は見た目に汚れていなくても病原性微生物が付着している可能性があるため、石けんと流水を用いてきれいに洗い流す習慣をつけることが、感染対策の基本であり、最も重要な手段といえるのです。

うがい
うがいは、繊毛運動のようなのど本来が持つ防御機能を高めるとともに、物理的な洗浄効果や、さらにうがい薬を使えば殺菌効果によって口腔やのどを清潔にします。その結果、のどの粘膜の機能が回復して活性化され、「口腔」を介する感染の予防や口臭の抑制が期待できます。

マスクの着用
マスクが最も効果を発揮するのは咳やくしゃみのある人がマスクをつけた場合です。風邪やインフルエンザ患者は1回の咳で約10万個、1回のくしゃみで約200万個のウイルスを放出すると言われています。そこで、患者がマスクをつけることでこれらを含んだしぶきによる周囲の汚染を減少させることができるのです。
風邪やインフルエンザに罹らないためにマスクをつけてもその効果は限定的とされています。なぜなら、顔とマスクとの間に隙間がありウイルスを含んだ飛沫の吸入を100%防ぐことはできません。また、ウイルス自体の粒子径は0.1~0.2μmですが、咳やくしゃみではウイルスに水分やほこりが付着し粒子径は5μm以上とやや大きくなるためすぐに短い距離に落下し、空間をただようことはないからです。更に、環境や衣類に付着したウイルスが手によって呼吸器に運ばれ感染する場合もありマスクだけで風邪やインフルエンザのウイルスを確実に遮断することはできません。ただし、風邪やインフルエンザ患者の近くで看病するなど咳やくしゃみのしぶきを直接あびる可能性がある場合には予防効果があると考えられます。

まとめ

新型コロナウィルスについて、この1~2週間の動向が、国内で急速に感染が拡大するかどうかの瀬戸際であると言われています。そのため、我々がそれぞれできることを実践していく必要があります。下記、厚生労働の方針をご参照いただき、感染予防に努めてください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00006.html