在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/04/03
精神症状不安定により通院困難となった独居統合失調症患者に対し、家族調整を軸に在宅療養を支えた訪問診療導入事例
要点サマリー
統合失調症により精神症状が不安定となり、外来通院が困難となった独居高齢女性に対し、訪問診療を導入した事例である。別居する長女をキーパーソンとして支援導線を整理し、在宅での精神科的フォローと生活支援を組み合わせた体制を構築した。ケアマネジャーにとっては、症状管理だけでなく、独居生活を維持するための家族連携と地域資源の活用をあわせて設計することが重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:82歳・女性
居住地:該当なし
世帯構成:独居
キーパーソン:長女(別居)
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険 1割負担
介護保険:要介護1
診断名
・統合失調症
導入の背景
長年、統合失調症の治療歴があるなかで、近時、精神症状が不安定となり、外来通院の継続が困難となっていた。症状増悪時には服薬中断や生活リズムの乱れがみられ、独居生活の継続に不安が生じていた。
本人は入院治療ではなく自宅での生活継続を希望していたが、通院負担により医療的支援が途切れるリスクが高い状況であった。別居する長女が調整役となり、在宅で継続的に関与できる診療体制を整える必要があったことから、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、精神状態の評価を継続しながら、服薬状況の確認と薬物療法の調整を行った。通院を前提としない診療体制とすることで、本人の心理的負担を軽減し、在宅での症状安定化を図った。
また、長女を窓口として医療側との情報共有を行い、生活上の変化や服薬状況を把握できる体制を構築した。必要に応じて訪問看護や介護サービス導入も検討し、医療と生活支援の双方から独居での在宅療養継続を支える体制を整えた。
医療対応の詳細
主病
統合失調症
対応内容
・精神症状の経過観察
・服薬状況の確認と薬物調整
・再発兆候への早期対応
・家族への状況説明と支援方針共有
医療処置
該当なし
支援のポイント
・精神症状不安定により通院困難となった段階で訪問診療導入を検討する
・独居生活を維持するため、別居長女をキーパーソンとして支援導線を整理する
・症状管理と生活支援を分けず、一体として支援設計を行う
・服薬中断や生活リズムの乱れを早期に把握できる体制を整える
・訪問看護や介護保険サービスを活用し、地域での見守りと継続支援を補強する
・医療が途切れやすい精神疾患に対し、在宅での継続フォローを確保する
考察
本症例は、統合失調症を抱える独居高齢者において、通院困難がそのまま治療中断につながりやすいことを示す事例である。精神症状の不安定化は、服薬継続や生活リズムの維持にも影響しやすく、独居では支援の空白が生じやすい。
ケアマネジャーにとって重要なのは、症状の重さのみでなく、独居で医療が途切れるリスクや、誰が支援導線を担うのかを早期に整理する視点である。訪問診療導入により、本人の生活の場を維持しながら精神科的フォローを継続でき、在宅療養生活の継続が現実的に成立した事例である。
付記情報
・診療科:精神科、内科
・病態・症状:統合失調症、精神症状不安定、服薬中断、生活リズムの乱れ
・世帯構成:独居