在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/02/26
キーパーソン急逝により通院継続が困難となったインスリン治療中の2型糖尿病患者に対し、在宅療養体制を再構築した事例
要点サマリー
インスリン注射および自己血糖測定を要する2型糖尿病を有する高齢男性が、通院同行や日常支援を担っていた同居の長男(キーパーソン)の急逝を契機に、通院継続が困難となった症例である。夫婦同居ではあるが、急激な家族機能の変化により医療管理体制が破綻し、在宅での医療フォロー体制再構築が必要となった。ケアマネジャーにとっては、家族状況の急変に伴う支援導線の見直しと、自己注射管理を含む医療的支援調整が重要なポイントとなる。
基本情報
年齢・性別:82歳 男性
居住エリア:記載なし
世帯構成:夫婦のみ
キーパーソン:長女(別居)
※長男(同居)は元キーパーソンであったが急逝
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険(1割負担)
介護保険:要支援2
診断名
2型糖尿病(インスリン治療中)
導入の背景
以前より2型糖尿病に対してインスリン注射および自己血糖測定を行いながら外来通院を継続していた。通院同行や日常管理は、同居していた長男が担い、実質的なキーパーソンとなっていた。
しかし、長男が急逝したことで支援体制が突然失われ、通院同行者の確保が困難となった。夫婦同居ではあるものの、配偶者も高齢であり、従来と同様の医療管理継続は現実的ではない状況となった。
在宅での療養生活を維持するため、訪問診療導入による医療体制再構築が必要と判断された。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、血糖コントロール状況の確認とインスリン管理の継続を中心に介入を行った。自己注射手技および血糖測定状況を再評価し、低血糖リスクも含めた生活状況の確認を実施した。
また、別居の長女と情報共有を行い、今後の支援体制について意思確認を重ねた。急激な家族機能の変化に対応しながら、在宅で医療管理が途切れない体制整備を進めた。
医療対応の詳細
主病:2型糖尿病(インスリン治療中)
対応内容:
・血糖測定状況の確認および経過観察
・インスリン注射管理の継続支援
・低血糖リスクを踏まえた生活指導
・家族支援体制変化に伴う医療導線の再構築
医療処置:インスリン注射管理、血糖測定あり
支援のポイント
・キーパーソン急逝による支援体制崩壊への迅速な対応
・夫婦同居であっても介護力が十分とは限らない点の評価
・自己注射管理を含む医療的支援の継続確保
・別居家族(長女)との情報共有および役割整理
・在宅療養継続を前提とした支援体制の再構築
考察
本症例は、疾患の重症化ではなく「支援者の急逝」という家族機能の急変が、在宅医療導入の直接的契機となった事例である。慢性疾患管理においては、通院や治療継続を支えるキーパーソンの存在が大きく、その喪失は医療からの離脱リスクを一気に高める。
訪問診療を導入することで、医療管理を在宅で継続しつつ、新たな支援導線を再構築することが可能となった。ケアマネジャーにとっては、家族状況の変化を早期に捉え、多職種連携により生活・医療両面の再設計を行うことが重要である。
付記情報
・診療科:内科
・病態・症状:その他(糖尿病)
・世帯構成:夫婦のみ