在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/02/25
在宅での慢性疾患管理と通院負担軽減を目的に訪問診療を導入したCOPD症例
要点サマリー
COPDを主病とし、労作時の息切れが進行している高齢男性の症例である。本人・配偶者ともに通院介助が困難となり、慢性疾患管理と生活背景を踏まえた在宅医療の必要性が高まった。医療面だけでなく、経済状況や介護力を含めて総合的に判断し、訪問診療導入が適切と判断された事例である。
基本情報
83歳、男性。名古屋市千種区在住。本人と妻の二人暮らしである。
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険1割負担。介護保険は要介護2。妻は要支援1である。
診断名
COPD
高血圧
Ⅱ型糖尿病
導入の背景
入院後に歩行能力が低下し、回復期リハビリを経て自宅退院となった。退院後は一定期間自立した生活が可能であったが、同居の妻も介護サービスを利用しており、通院介助が次第に困難となっていた。室内は伝い歩きで移動可能であったが、COPDの影響により労作時の息切れが顕著となり、外来受診の負担が増大していた。
介入内容と経過
通院負担の軽減、慢性疾患の安定管理、生活状況を踏まえた支援体制構築を目的に訪問診療の相談がなされた。糖尿病については嗜好として甘味や清涼飲料水の摂取が多く、今後の悪化リスクが懸念されたため、在宅での継続的な医学的管理が望ましいと判断された。本人の生活状況、妻の介護力、経済面を総合的に勘案し、当院での訪問診療介入が決定された。
医療対応の詳細
COPD、高血圧、糖尿病に対する内科的管理。
特別な医療処置:該当なし。
支援のポイント
本人だけでなく配偶者も介護支援が必要な世帯では、通院そのものが在宅生活継続の障壁となる。訪問診療により、労作時呼吸困難を悪化させる移動負荷を回避しつつ、慢性疾患管理を継続できる環境が整った。また、医師の性別に配慮した調整により、介入時の拒否感やトラブルを未然に防ぐ工夫がなされた。
考察
本症例は、慢性呼吸器疾患と生活機能低下が重なった段階で訪問診療を導入する意義を示している。医療的必要性に加え、介護力、経済状況、本人の性格特性を踏まえた調整を行うことで、在宅療養を現実的かつ安定した形で継続できた事例である。
付記情報
・診療科:内科
・病態・症状:COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・世帯構成:夫婦のみ