在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/02/25
多疾患・複合的家族課題を背景に、医療機関変更を契機として訪問診療を導入した事例
要点サマリー
レビー小体型認知症と褥瘡を有し、要介護5で在宅療養を継続していた症例である。主介護者である夫の精神的負担が大きく、医療者との信頼関係の破綻を契機に医療機関変更が必要となった。整形外科的対応も含めた訪問診療体制を再構築することで、在宅療養の継続と介護環境の安定を図ったケースである。
基本情報
73歳、女性。名古屋市昭和区在住。本人、夫、長男、長女の4人暮らしである。
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険1割負担。福祉給付金資格者証あり。介護保険は要介護5である。
診断名
レビー小体型認知症
正常圧水頭症疑い
褥瘡
導入の背景
精神疾患が疑われる夫とうつ病を有する長女が同居しており、主介護者である夫が一人で全ての介護を担っている状況であった。身体機能は急激に低下し、褥瘡の発生を契機に入院加療を要した。その後在宅復帰し、往診、訪問看護、訪問リハビリ、訪問入浴を利用しながら在宅療養を継続していたが、介助中の事故により骨折を生じ、整形外科への頻回通院が必要となった。
介入内容と経過
骨折後の対応をめぐり、前医との信頼関係が崩れ、医療機関変更が必要となった。ケアマネジャーが複数医師体制であり、整形外科医の訪問対応も可能な医療機関を検討し、当院への訪問診療導入が調整された。整形外科医の介入を含めた訪問診療体制を構築し、在宅での診療を再開した。
医療対応の詳細
定期的な訪問診療による全身状態および褥瘡の評価。
整形外科医による訪問診療対応。
特別な医療処置:該当なし。
支援のポイント
医療的課題だけでなく、主介護者の精神的負担や医療者との信頼関係が在宅療養継続の可否に大きく影響していた症例である。医師数が多く、複数診療科に対応できる体制を選択したことで、将来的な医師変更の可能性にも備えた柔軟な支援が可能となった。
考察
在宅療養においては、疾患管理だけでなく、家族背景や介護力、医療者との関係性が極めて重要である。本症例は、医療機関変更というネガティブな契機を、より安定した在宅医療体制へ移行する機会として活かした事例である。複合的な課題を抱える世帯ほど、診療科横断的に対応可能な訪問診療体制が有効であることを示している。
付記情報
・診療科:内科、整形外科、精神科
・病態・症状:認知症、その他
・世帯構成:親子