在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/02/25
在宅復帰を目的に、医療・生活支援体制を再構築し訪問診療を導入した独居高齢者の事例
要点サマリー
糖尿病および慢性腎不全を背景に、左第一指褥瘡・壊死を契機として入院・施設入所を経た症例である。本人は自宅復帰への希望が強く、医療管理と生活支援体制の再構築が課題であった。訪問診療と訪問看護を併用し、医療管理と在宅生活支援を両立させることで自宅復帰を実現したケースである。
基本情報
77歳、男性。緑区在住。本人は独居。家族として長女、次女、孫(次女の娘)がいるが、日常的な同居や支援は行われていない。
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険1割負担。福祉給付金あり。介護保険は要介護2、負担割合1割である。
診断名
糖尿病
慢性腎不全
高脂血症
神経障害性疼痛
便秘症
左第一指褥瘡・壊死
導入の背景
発熱および左第一指壊死を契機に入院・転院を経た後、施設入所となった。本人は治療が終了すれば自宅に戻れるという認識が強く、入所生活への不安や不満が顕著であった。自宅復帰に向けた具体的な支援体制が整っていなかったため、担当ケアマネージャーより、訪問診療および訪問看護を組み合わせた在宅医療体制の構築について相談があった。
介入内容と経過
退所および自宅復帰を目標に、訪問診療と訪問看護を同時に導入した。家族は仕事等の理由で十分な支援が難しく、非協力的な側面もあったため、退所にあたっては身元保証を付けた。医療面では糖尿病管理と褥瘡ケアを中心に在宅支援を開始し、生活面では金銭管理や日常生活支援を含めた環境整備を行った。
医療対応の詳細
糖尿病に対するインスリン注射管理。
左第一指褥瘡・壊死に対する局所管理および経過観察。
慢性疾患に対する定期的な医学的評価。
支援のポイント
独居であり家族支援が限定的なケースでは、医療管理のみならず生活支援体制の同時構築が重要である。本症例では、訪問看護と密に連携することで医療処置を在宅で完結させ、身元保証や生活支援を組み合わせることで自宅復帰を現実的な選択肢とした。
考察
施設入所中であっても、本人の生活意向が在宅にある場合には、医療・介護・生活支援を一体的に再設計することで在宅復帰が可能となる。本症例は、独居かつ家族支援が限定的であっても、訪問診療を軸に支援体制を整えることで在宅生活を実現できた一例であり、退所支援を検討する際の重要な示唆を与える。
付記情報
・診療科:内科、皮膚科
・病態・症状:糖尿病、慢性腎不全、その他
・世帯構成:独居