在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/02/16
進行性核上性麻痺と認知症を併存し、在宅生活継続を目的に訪問診療を導入した一例
要点サマリー
進行性核上性麻痺およびアルツハイマー型認知症により、嚥下障害・移動能力低下が進行した症例である。退院後の在宅生活を継続するため、訪問看護・訪問リハビリと連携し、訪問診療を導入した。誤嚥性肺炎の再発リスクが高く、医療的な経過観察と早期対応が在宅療養継続の鍵となったケースである。
基本情報
84歳男性。名古屋市守山区在住。妻と二人暮らし。妻は外出が多い。長男は同区内在住で、長男の妻は看護師。長女は緑区在住。
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険1割負担。福祉給付金資格者証あり。特定医療費受給者証あり。要介護5。
診断名
進行性核上性麻痺
アルツハイマー型認知症
てんかん
嚥下障害
導入の背景
認知症の診断後、薬物療法を開始したが、その後進行性核上性麻痺と診断され、訪問看護および訪問リハビリ(言語聴覚療法)を利用する状況となった。けいれん発作による入院を契機に、嚥下機能が著しく低下し、全介助でのペースト食が必要となった。移乗・移動についても介助を要する状態となり、退院後の在宅生活継続には医療的支援が不可欠と判断された。
介入内容と経過
本人の在宅生活継続の強い希望により自宅退院となったが、退院後に誤嚥性肺炎を発症し再入院となった。再退院後は、誤嚥リスク管理と全身状態の安定を目的として、訪問診療を導入し、訪問看護・訪問リハビリと連携しながら在宅療養を開始した。
医療対応の詳細
嚥下状態および全身状態の定期的な医学的評価。
誤嚥性肺炎再発時の早期対応体制の構築。
抗てんかん薬を含む内服管理。
支援のポイント
嚥下障害を有する神経難病患者に対し、訪問看護・ST・訪問診療の多職種連携が重要であった。家族、とくに医療職である長男の妻との情報共有により、日常の変化を早期に医療へつなぐ体制を構築できた点が在宅生活継続に寄与した。
考察
進行性核上性麻痺は進行性であり、嚥下障害や転倒リスク、誤嚥性肺炎の再発が避けられない疾患である。本症例では、退院後の再入院を契機に訪問診療を導入することで、医療的な安心感を担保しながら在宅生活を継続することが可能となった。介護サービス単独では対応困難な症例であり、訪問診療導入の適応は高かったと考えられる。
付記情報
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診療科:内科、神経内科
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病態・症状:認知症、神経難病、嚥下障害、てんかん
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世帯構成:夫婦のみ