在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/02/12
視覚障害と関節疾患を背景に、在宅サービス導線確保を目的として訪問診療へ切り替えた事例
要点サマリー
網膜色素変性症による視覚障害のため単独外出が困難で、通院には常に妻の介助を要していた症例である。
整形外科通院を継続していたが、介護保険利用への切り替えに際し、在宅リハビリ等に必要な医師対応が得られず、在宅療養への移行が停滞した。
訪問診療を導入することで、在宅サービス利用に必要な医療的基盤を整え、妻の介護負担軽減と医療継続を両立した。
ケアマネにとっては、医療機関側の対応可否が在宅移行の成否を左右する点を示す事例である。
基本情報
年齢・性別:78歳・男性
居住地:名古屋市中川区
家族構成:本人・妻の二人暮らし
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険(1割負担)
介護保険:要支援1(1割負担)
福祉給付金受給あり
診断名
網膜色素変性症
左膝関節症
高血圧症
導入の背景
網膜色素変性症により身体(視覚)障害者手帳を所持しており、単独での外出が困難な状況であった。
外出や通院には常に妻の介助が必要であり、通院そのものが介護負担となっていた。
左膝関節症についてはA病院で診断後、近隣のB整形外科へ通院しリハビリを継続していた。
介護保険申請後、同院より「今後は介護保険での提供になる」と説明を受けたが、訪問リハビリ指示書や訪問マッサージ同意書への対応が得られないことが判明した。
妻の負担軽減を目的に在宅療養も視野に入れていたが、医療的な導線が確保できない状況であったため、訪問診療への切り替えを検討することとなった。
介入内容と経過
訪問診療導入後は、在宅での定期的な状態確認を行いながら、介護保険サービス利用に必要な医師対応を整備した。
通院頻度を減らしつつ、生活環境に即した身体状況の評価と慢性疾患管理を継続している。
眼科については、本人にとって数か月に一度の外出機会となること、ならびに信頼関係が確立されていることから、併診として継続する方針とした。
医療対応の詳細
主病:網膜色素変性症、左膝関節症
医療対応:慢性疾患管理、在宅サービス導線整備、定期的な全身状態確認
併診:眼科(外来継続)
支援のポイント
視覚障害を前提とした外出・通院負担の軽減
在宅リハビリ等を成立させるための医療側の調整
訪問診療導入による介護保険サービス利用の円滑化
併診継続により本人の安心感と生活の質を維持
考察
本症例は、疾患そのものよりも医療機関側の対応体制が在宅移行の成否を左右したケースである。
訪問診療は、通院困難時の代替手段にとどまらず、介護保険サービスを成立させるための医療的基盤として機能する。
特に視覚障害を有する患者では、移動制限がそのまま家族負担に直結するため、医療・介護双方を見据えた支援設計が重要であることを示唆する事例である。
付記情報
診療科:内科、整形外科、その他
病態・症状:その他
世帯構成:夫婦のみ