在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/01/27
視覚障害と関節疾患を併存し、介護負担軽減を目的に訪問診療へ切り替えた事例
要点サマリー
網膜色素変性症による視覚障害を背景に外出が困難で、通院には常に妻の介助を要していた症例である。
整形外科通院とリハビリを継続していたが、介護保険サービスへの切り替えに際し在宅サービスに必要な医師対応が得られず、支援体制が行き詰まった。
訪問診療へ切り替えることで、在宅リハビリ・マッサージ等の導線を確保しつつ、妻の介護負担軽減と医療の継続性を両立した。
ケアマネにとっては、「医療機関の協力体制」が在宅移行の可否を左右するケースとして参考となる事例である。
基本情報
年齢・性別:78歳・男性
居住地:名古屋市中川区
家族構成:本人・妻の二人暮らし
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険(1割負担)
介護保険:要支援1(1割負担)
福祉給付金受給あり
診断名
網膜色素変性症
左膝関節症
高血圧症
導入の背景
網膜色素変性症により身体(視覚)障害者手帳を所持しており、単独での外出は困難な状況であった。
外出時には常に妻の介助が必要であり、通院そのものが介護負担となっていた。
左膝関節症についてはA病院で診断後、B整形外科へ通院しリハビリを継続していたが、介護保険申請後、同院より「今後は介護保険での対応になる」と説明を受けた。
その過程で、訪問リハビリ指示書や訪問マッサージ同意書への対応が得られないことが判明し、在宅サービスへの移行が事実上困難となった。
妻の負担軽減を目的に在宅療養も視野に入れていたため、医療的な支援体制を再構築する必要があり、訪問診療への切り替えを検討・導入することとなった。
介入内容と経過
訪問診療導入後は、在宅での医療管理を基盤とし、訪問リハビリ・訪問マッサージ等の介護保険サービス導入に向けた医師対応を整備した。
通院回数を減らしながら、生活環境に即した身体評価と状態確認を継続している。
眼科については、本人にとって外出機会の確保や信頼関係の観点から重要であるため、併診として継続する方針とした。
医療対応の詳細
主病:網膜色素変性症、左膝関節症
医療対応:慢性疾患管理、在宅リハビリ導線の整備、全身状態の定期確認
併診:眼科(外来継続)
支援のポイント
視覚障害による外出困難を前提とした医療設計
医療機関の対応可否が在宅移行のボトルネックになる点を整理
訪問診療により在宅サービス利用の前提条件を確保
併診継続により本人の安心感と生活の質を維持
考察
本症例は、疾患そのものよりも**「医療機関の対応体制」が在宅移行の可否を左右したケース**である。
訪問診療は単に通院困難時の代替手段ではなく、介護保険サービスを成立させるための“医療側のハブ”として重要な役割を果たす。
特に視覚障害を有する患者では、移動負担がそのまま家族負担に直結するため、医療と介護の連携設計が不可欠であることを示唆する事例である。
付記情報
診療科:内科、整形外科、その他
病態・症状:その他
世帯構成:夫婦のみ