在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/01/27
大学病院通院と在宅医療の併用を前提に、訪問診療を導入した難病高齢者の事例
要点サマリー
巨細胞動脈炎という難病を背景に、大学病院への定期通院を継続していたが、主介護者の就労状況や通院負担の増大により、在宅で相談できる医療体制の必要性が高まった症例である。
訪問看護はすでに介入していたものの、「医療的な判断を即時に相談できる先」が限られていたため、併診という形で訪問診療を導入した。
ケアマネにとっては、完全な通院中止ではなく、通院頻度調整という中間的な選択肢をとった点が実務上の示唆となる。
基本情報
年齢・性別:91歳・女性
居住地:名古屋市中区
家族構成:本人・長男が同居。次男夫婦は守山区在住。次男の妻が週1回訪問。
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険(1割負担)
介護保険:要介護3(1割負担)
特定医療費受給者証あり
診断名
巨細胞動脈炎
関節リウマチ
腰椎すべり症
導入の背景
長男の介助のもと、大学病院へ定期的に通院していた。
自宅内では歩行器を使用し、排泄は自立しているものの、下痢やめまいといった体調不良が断続的にみられていた。
かかりつけ医が大学病院のみであったため、訪問看護が介入していても、日常的な体調変化や判断を相談できる医師が身近にいない状況であった。
また、長男は自営業で出張も多く、今後も通院介助を継続できるかどうかに不安を抱えていた。
こうした状況を踏まえ、訪問看護事業所より「併診での訪問診療利用」が提案され、当院への相談につながった。
介入内容と経過
面談時、長男からは大学病院への通院を中止し、訪問診療へ完全に切り替えたいという意向が示された。
一方で、本人は引き続き大学病院での診療を希望していたため、通院を継続しつつ、その頻度を調整する方向で合意が得られた。
現在は、訪問診療を併用することで、日常的な体調管理や相談対応を在宅で行い、専門的な判断が必要な場面では大学病院と連携する体制を構築している。
医療対応の詳細
主病:巨細胞動脈炎、関節リウマチ
医療対応:在宅での全身状態管理、症状変動時の判断支援
専門医対応:大学病院と併診
難病対応:特定医療費(難病)更新申請は当院にて対応可能
支援のポイント
通院継続か完全在宅かの二択にせず、併診という選択肢を提示
主介護者の就労状況を踏まえた通院負担の整理
訪問看護と訪問診療の役割分担を明確化
難病更新手続きを在宅側で担うことによる負担軽減
考察
本症例は、「大学病院にかかり続けたい本人の意思」と「介護・通院負担を軽減したい家族の事情」が乖離している状況において、訪問診療を調整弁として活用した事例である。
併診という形をとることで、本人の安心感を保ちつつ、家族と支援者の負担を現実的に軽減することができた。
通院の可否ではなく、「どの頻度・どの役割分担が現実的か」を整理することが、在宅移行期の支援において重要であることを示している。
付記情報
診療科:内科、整形外科、その他
病態・症状:難病、その他
世帯構成:親子