在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/01/27
アルツハイマー型認知症と身体機能低下により、かかりつけ医不在のまま通院困難となり訪問診療を導入した事例
要点サマリー
アルツハイマー型認知症を基盤に、サルコペニアによる身体機能低下と排尿管理を要する状態となり、通院継続が困難となった症例である。
明確な急性疾患は認められなかったものの、急激なADL低下と体重減少、かかりつけ医不在という状況から、在宅での継続的な医療フォローが必要と判断し訪問診療を導入した。
ケアマネにとっては、「疾患の重症度」ではなく「医療の空白」と「通院困難性」を起点に訪問診療を検討する重要性を示す事例である。
基本情報
年齢・性別:82歳・女性
居住地:名古屋市千種区
家族構成:本人・夫・三男の三人暮らし。長男は名東区、次男は緑区在住。
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険(1割負担)
介護保険:要介護2(1割負担)
診断名
アルツハイマー型認知症
サルコペニア
排尿困難(バルーンカテーテル留置)
導入の背景
これまで身の回りのことは概ね自立して行えていたが、急激に歩行困難となり医療機関を受診した。
精査の結果、明確な異常は認められなかったものの、腰痛の訴えがあり、食事量の低下と著明な体重減少がみられていた。
自宅での入浴が困難となり、入浴についてはデイサービスを利用して対応していた。
また、排尿困難によりバルーンカテーテルが留置されており、日常的な処理は同居する三男が担っていた。
明確なかかりつけ医が存在せず、直近では大学病院への通院のみであったが、今後の状態フォローや通院継続が困難と判断され、訪問診療の導入を検討することとなった。
介入内容と経過
訪問診療を開始し、通院に依存しない形で全身状態の定期的な把握を行っている。
身体機能の変化や栄養状態、排尿管理状況について、生活の場での経過観察を継続している。
同居家族と情報共有を行い、在宅生活が過度な負担とならないよう支援体制を整えている。
医療対応の詳細
主病:アルツハイマー型認知症、サルコペニア、排尿困難
医療処置:バルーンカテーテル管理、内科的全身管理
通院:原則中止し、訪問診療によるフォローを実施
支援のポイント
身体機能低下と体重減少を在宅で早期に把握できる体制を構築
かかりつけ医不在による医療の空白を訪問診療で補完
家族が担っている排尿管理を前提とした無理のない支援設計
デイサービスなど既存サービスと訪問診療を並行活用
考察
本症例は、明確な急性疾患がなくとも、通院困難性と医療継続性の断絶が訪問診療導入の重要な判断材料となることを示している。
疾患名よりも「誰が日常的に状態を把握し、変化に対応するのか」という視点が、在宅療養の安定に寄与した事例である。
ケアマネが早期に医療介入の必要性を整理し、訪問診療につなげたことで、在宅生活の継続が可能となった。
付記情報
診療科:内科
病態・症状:認知症、その他
世帯構成:親子