在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/01/23
中枢神経系原発リンパ腫後のADL低下と介護負担増大に対し、レスパイトを含めた訪問診療を導入した事例
要点サマリー
中枢神経系原発びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の治療後、ADL低下と認知・精神症状の進行により通院継続が困難となった症例である。
主介護者である夫の介護負担が増大しており、通院介助の軽減と、必要に応じたレスパイト入院の活用を視野に訪問診療を導入した。
医療管理と介護負担調整を両立する在宅支援の事例である。
基本情報
年齢・性別:74歳・女性
居住地:名古屋市千種区
家族構成:夫と二人暮らし
保険・福祉情報
医療保険:前期高齢者医療保険(2割負担)
介護保険:要介護3
診断名
・中枢神経系原発びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
・てんかん
・認知症
導入の背景
リンパ腫治療のため入院歴があり、退院後も基幹病院での定期外来通院を継続していた。
しかし徐々にADLが低下し、屋内移動にも車いすが必要な状態となった。
介助があればトイレ移乗は可能であるものの、オムツ内失禁がみられるようになり、日常介護の負担が増加していた。
また、精神的な不安定さから、主介護者である夫に対する暴言がみられるようになり、心理的負担も大きくなっていた。
これらの状況から、通院介助の軽減と、必要時にレスパイト入院を利用できる体制を整えることを目的に、訪問診療の導入を希望された。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、定期的な医学的評価を行いながら、生活状況や介護負担の変化を継続的に確認している。
通院は必要最小限とし、在宅での診療を基本とすることで、夫の通院介助負担を軽減した。
また、状態変化や介護疲労が強まった際には、レスパイト入院を検討できる体制を確保している。
医療対応の詳細
主病:中枢神経系原発リンパ腫、てんかん、認知症
対応内容:
・全身状態および神経症状の定期評価
・てんかん発作の有無と服薬管理
・精神症状の変動確認
・介護負担を踏まえた診療計画の調整
支援のポイント
・通院介助が困難となった段階での在宅移行判断
・主介護者である夫の身体的・心理的負担への配慮
・レスパイト入院を選択肢として位置づけた支援設計
・医療と介護の役割分担を明確にした関わり
考察
本症例は、がん治療後の後遺症や認知・精神症状により、患者本人だけでなく介護者の負担が顕在化したケースである。
訪問診療を導入することで、医療管理と介護負担調整を同時に行うことが可能となった。
ケアマネジャーにとっては、
・通院が成立しなくなるタイミングの見極め
・精神症状が介護負担に直結するケース
・レスパイトを含めた医療導入の意義
を考えるうえで示唆に富む事例である。
付記情報
・診療科:内科、神経内科、その他
・病態・症状:がん、認知症、その他
・世帯構成:夫婦のみ