在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/01/23
複数がん治療終了後、未告知配慮と家族調整を前提に訪問診療へ移行した高齢夫婦世帯の事例
要点サマリー
肺がん・前立腺がんの治療終了を契機に在宅療養へ移行。
胃がんについては本人および同居家族への未告知を継続しつつ、家族間で情報共有を行いながら訪問診療を導入した症例である。
ADL自立を維持した状態での早期在宅移行により、生活の安定と将来の変化への備えを両立した。
基本情報
年齢・性別:85歳・男性
居住地:名古屋市守山区
家族構成:本人・妻の二人暮らし(長女・長男は別居)
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険(2割負担)
介護保険:要支援2(1割負担)
診断名
・肺がん
・前立腺がん
・胃がん
導入の背景
肺がんおよび前立腺がんについては治療が終了し、主治医より在宅療養への切り替えが提案された。
胃がんについては別医療機関で診療を受けていたが、他疾患の状況を踏まえ、在宅療養への移行が了承された。
胃がんに関しては本人および同居の妻には未告知であり、長女・長男のみが病状を把握している。
過去に肺がん告知時、妻が強い不穏状態となった経緯があり、現在も認知症があることから、家族の判断で未告知を継続する方針となった。
介入内容と経過
本人は「胃の調子が悪い」という自覚程度で、在宅医療導入時点ではADLは自立していた。
これまでは訪問リハビリのみを利用し、緊急時加算も付けない環境で生活していたが、今後の体調変化を見据え、訪問診療を月2回から開始することとなった。
妻は同居しているものの、認知症があり、医療的判断や緊急対応を担うことは難しい状況であるため、別居の長女・長男と情報共有を行いながら支援体制を構築している。
医療対応の詳細
主病:肺がん、前立腺がん、胃がん
対応内容:
・治療終了後の全身状態・症状の定期評価
・生活を大きく変えない範囲での医療介入
・未告知方針を尊重した説明・対応
・家族(別居子)との連携を前提とした在宅医療体制の構築
支援のポイント
・がん未告知という前提条件を共有したうえでの医療介入
・同居家族に認知症があるケースにおける意思決定支援
・ADL自立期から訪問診療を導入し、将来の変化に備えた支援設計
・別居家族との役割分担を明確にした支援体制
考察
本症例は、「治療が終わった=医療が不要」ではなく、生活の場に医療を移行するタイミングとして訪問診療を活用した例である。
また、がん未告知という繊細な前提条件のもとでも、家族間で情報を整理し、本人の生活を守る形で在宅医療を導入できた点が特徴的である。
ケアマネジャーにとっては、
・未告知ケース
・同居家族に認知症がある世帯
・ADL自立期からの在宅医療導入
といった場面での判断・調整の参考となる事例である。
付記情報
・診療科:内科、その他
・病態・症状:がん、その他
・世帯構成:夫婦のみ