在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/01/21
独居高齢者における血圧管理と慢性関節痛を目的に訪問診療を導入した事例
要点サマリー
独居生活を継続している高齢者において、両変形性膝関節症による通院不安と高血圧の疑いが重なり、内科受診への心理的ハードルが高くなっていた。
ケアマネジャーの提案を契機に訪問診療を導入し、在宅での血圧評価と全身管理を開始。生活支援者との関係性を活かしながら、無理のない医療介入で在宅生活の継続を支えた事例である。
基本情報
年齢・性別:88歳・女性
居住地:名古屋市中区
家族構成:本人独居
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険(1割負担)
介護保険:要支援1(1割負担)
診断名
・高血圧の疑い
・両変形性膝関節症
導入の背景
独居で生活しているが、同じ建物に住む教え子が日常生活のサポートを行っており、身近な支援者の存在がある環境であった。
両変形性膝関節症については、以前より手術の提案はあったものの、本人の希望で保存的治療を選択し、鎮痛薬でのコントロールを継続していた。
近頃、血圧が高値となる日が続き内科受診が必要と考えられたが、主治医が整形外科医であること、新たに内科へ通院することへの不安、下肢痛による移動困難感が重なり、受診に踏み切れない状況であった。
こうした背景をふまえ、担当ケアマネジャーより訪問診療が提案され、本人も在宅での診療を希望されたため、介入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、在宅での血圧測定と全身状態の評価を行い、経過観察を中心とした診療を開始した。
整形外科疾患については、これまでの治療方針を尊重し、疼痛状況や日常生活への影響を定期的に確認した。
通院を伴わない形で医師に相談できる環境が整ったことで、本人の不安は軽減し、安定した在宅生活が継続できている。
医療対応の詳細
主病:高血圧の疑い、両変形性膝関節症
対応方針:
・在宅での血圧評価と経過観察
・疼痛コントロール状況の確認
・新たな通院負担を生じさせない医療提供
・生活状況を踏まえた無理のない治療設計
支援のポイント
・独居であっても、身近な支援者の存在を活かした在宅医療導入
・通院への心理的・身体的ハードルを下げる選択肢としての訪問診療
・要支援レベルでも早期に医療介入を行うことで不安の軽減につなげた点
・ケアマネジャーの気づきと提案が導入のきっかけとなった点
考察
本事例は、重篤な疾患がなくとも「通院への不安」そのものが在宅生活の不安定要因となり得ることを示している。
訪問診療を導入することで、医療的な問題の早期把握だけでなく、本人の安心感を支える効果が得られた。
ケアマネジメントにおいては、要支援段階であっても医療アクセスの選択肢を提示することが、在宅生活の継続に寄与することを示唆する症例である。
付記情報
・診療科:内科、整形外科、その他
・病態・症状:その他
・世帯構成:独居