在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/12/05
進行膀胱がんによるADL低下を背景に在宅療養へ移行したケース
要点サマリー
進行膀胱がんと全身転移、脊椎病的骨折による下肢麻痺を背景に通院が困難となり、訪問診療を導入した。
独居・身寄りなしの環境下で、治療継続と生活維持を目的に在宅体制を構築した。
化学療法後の全身管理と多職種連携により、自宅療養を継続している。
基本情報
年齢・性別:80歳 男性
居住エリア:名古屋市千種区
家族構成(KP):独居、身寄りなし
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、福祉給付金資格者証、要介護4
主病・背景
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膀胱がん
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糖尿病
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脂質異常症
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胸椎後方除圧固定術後
生活背景:
単身独居で支援者がなく、病状進行と下肢麻痺により日常生活の自立が困難な状況であった。
訪問診療導入の経緯
膀胱がんの診断後に手術を受け、その後一時通院が中断されていたが、再度血尿が出現。
転倒を契機に体動困難となり救急搬送され、画像検査にて全身転移を伴う巨大膀胱腫瘍と胸椎の病的骨折が判明した。
進行性の両下肢麻痺を認め、胸椎後方除圧固定術を施行。
化学療法(ゲムシタビン+カルボプラチン)を導入後、退院に際して通院継続が困難と判断され、在宅での医療管理を目的に訪問診療を開始した。
介入内容と経過
診療方針:
がん治療の継続と全身状態の安定を図りつつ、独居環境下でも在宅療養が可能となる体制構築を行う。
医療介入:
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化学療法後の全身状態管理
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血糖・脂質管理
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疼痛・神経症状の評価および薬剤調整
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術後経過・脊椎症状のフォロー
多職種連携:
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ケアマネ・訪問看護との密な情報共有
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生活支援サービスとの調整
生活支援・環境調整:
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独居環境下での生活動線整備
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必要サービス導入の調整
経過・結果:
訪問開始後は在宅での療養を継続。
下肢麻痺に伴うADL低下がある中、医療管理と生活支援を組み合わせ、入院に依らない生活を維持している。
支援のポイント
・独居かつ身寄りなしという社会的脆弱性を踏まえ、医療と生活支援の両面を同時に整備した。
・病状進行と下肢麻痺により通院不能なケースにおいて、訪問診療が治療継続の実質的なインフラとなった。
・多職種連携により生活リスクの早期把握と予防対応を行った。
付記情報
疾患種別:悪性腫瘍/脊椎疾患/代謝疾患
関連病名:膀胱がん、糖尿病、脂質異常症、病的骨折、胸椎後方除圧固定術後
医療処置:化学療法管理、術後フォロー
エリア:名古屋市千種区
生活環境:独居、身寄りなし
介護者状況:家族介護者なし
医療負担割合:1割