在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/12/03
慢性疾患と転倒後の歩行障害により通院困難となり、在宅療養へ移行したケース
要点サマリー
複数の慢性疾患管理を外来で行っていたが、転倒後の膝痛と歩行障害により通院継続が困難となった。
同居配偶者も認知症を有し介助負担が大きく、家族支援体制の調整が必要な状況であった。
訪問診療を導入し、在宅での慢性疾患管理と整形外科的フォローを継続している。
基本情報
年齢・性別:85歳 女性
居住エリア:名古屋市千種区
家族構成(KP):夫と二人暮らし(夫は認知症あり)/長女は東京、次女は東区在住(KP:次女)
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、要支援2
主病・背景
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2型糖尿病
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脂質異常症
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高尿酸血症
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高血圧
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乳がん術後
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味覚嗅覚障害
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胸椎後方除圧固定術後
生活背景:
長年近医通院で慢性疾患を管理していたが、配偶者が認知症を有しており通院介助が困難であった。
訪問診療導入の経緯
慢性疾患にて近医へ通院中であったが、転倒により側溝にはまり右膝を打撲。腫脹と疼痛が強く、引きずり歩行となった。
整形外科で穿刺処置を受け、変形性膝関節症に対してヒアルロン酸関節注射を週1回施行していたが、膝痛と移動制限により通院継続が困難となった。
さらに同居する夫の認知症による介護負担も重なり、外来通院の継続が現実的でない状況となり、訪問診療導入となった。
介入内容と経過
診療方針:慢性疾患管理の継続と膝痛に伴う生活機能低下への対応を軸に、在宅療養の安定化を図る。
医療介入:
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糖尿病・高血圧・脂質異常症などの内科的管理継続
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膝関節症状の評価、整形外科治療との連携
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疼痛コントロールおよび歩行状況の経過観察
多職種連携:
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ケアマネジャーを通じた家族・支援体制の調整
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必要に応じ訪問看護・リハビリと連携
生活支援・環境調整:
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生活導線を考慮した転倒予防の助言
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家族支援を含めた介護負担軽減への配慮
経過・結果:
訪問診療開始後は在宅で慢性疾患管理を継続しつつ、膝痛の経過観察を行っている。通院負担が解消され、生活の安定が図られている。
支援のポイント
・身体機能低下と家族の介護事情を同時に評価し、外来から在宅への切り替えを適切に判断した。
・内科疾患と整形外科疾患を並行して管理し、医療の継続性を担保した。
・在宅環境と家族状況を踏まえ、無理のない生活支援体制の構築を重視した。
付記情報
疾患種別:生活習慣病/整形外科疾患/がん術後
関連病名:2型糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、高血圧、乳がん術後、味覚嗅覚障害、胸椎後方除圧固定術後、変形性膝関節症
エリア:名古屋市千種区
生活環境:夫と二人暮らし(夫に認知症あり)
介護者状況:次女がKP、家族支援あり
医療負担割合:1割(後期高齢者医療)