要点サマリー
肺線維症の急性増悪後、呼吸状態は改善したもののADLが回復せず、通院が困難となったため訪問診療を導入したケースである。
在宅酸素療法の継続管理と薬剤調整を中心に、在宅での呼吸状態安定を図った。
家族の協力体制のもと、自宅での療養継続を可能とした。
基本情報
年齢・性別:82歳 男性
居住エリア:名古屋市千種区
家族構成(KP):妻と二人暮らし、長男は区内在住(支援に協力的)
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、福祉給付金資格者証、要介護4(1割)
主病・背景
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肺線維症
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鉄欠乏性貧血
生活背景:
慢性呼吸不全により在宅酸素療法を要し、室内歩行が限界となっていた。通院移動が身体的負担となり、外来通院の継続が困難な状況であった。
訪問診療導入の経緯
肺線維症で専門病院に通院中、急性増悪により救急搬送となりステロイドパルス療法を実施。
治療により呼吸状態は改善し、ステロイドは内服へ切り替えて漸減。酸素使用量は安静時1L、労作時2Lまで回復した。
その後リハビリを行い自宅退院となったが、ADLは十分改善せず、通院による受診が困難な状況となった。
専門病院での積極治療は一区切りとなり、自宅での治療継続を希望したため、処方管理と在宅酸素指示書対応目的に訪問診療を開始した。
介入内容と経過
診療方針:呼吸状態の安定維持を最優先とし、在宅酸素療法と薬物治療の継続を通じて、通院せずに在宅療養を成立させる。
医療介入:
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在宅酸素療法の管理
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ステロイド内服継続および漸減調整
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処方管理と全身状態モニタリング
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貧血状態のフォロー
多職種連携:
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訪問看護との情報共有
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家族との連絡調整、症状変化時の対応確認
生活支援・環境調整:
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室内移動に配慮した動線確認
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呼吸困難時の対応方法の家族指導
経過・結果:
訪問開始後は呼吸状態はおおむね安定。
外来通院を要さず、在宅での治療継続が可能となっている。
支援のポイント
・ADL低下により通院継続が現実的でなくなった時点で、速やかに在宅医療へ移行した。
・在宅酸素療法の適切な管理により、呼吸状態の安定を維持した。
・家族の支援力を活かし、日常観察と早期共有ができる体制を整えた。
付記情報
疾患種別:呼吸器疾患/慢性疾患
関連病名:肺線維症、鉄欠乏性貧血
医療処置:在宅酸素療法
エリア:名古屋市千種区
生活環境:妻と二人暮らし、長男が近隣支援
介護者状況:妻が主介護、長男が積極支援
医療負担割合:1割