要点サマリー
認知機能低下と転倒を背景に外出機会が減少し、臥床時間の増加から褥瘡を発症した高齢者の症例である。
退院後の通院・生活支援が困難と判断され、主介護者への指導を含めた在宅支援体制を目的に訪問診療を導入した。
医療管理と介護連携を軸に、在宅生活の安定と褥瘡の再発予防を図っている。
基本情報
年齢・性別:81歳 女性
居住エリア:名古屋市守山区
家族構成(KP):次男と二人暮らし(KP:次男)/長男は県外在住
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、福祉給付金資格者証、要介護4
主病・背景
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褥瘡(右腰部)
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認知症
生活背景:
転倒を繰り返し、外出への不安から引きこもりがちとなり、臥床時間の増加により褥瘡が発生。主介護者は認知症への理解が十分でなく、生活・介護環境の支援が必要な状況であった。
訪問診療導入の経緯
周囲から物忘れを指摘される機会が増え、転倒も反復。次第に外出を控えるようになり、臥床時間が延長して褥瘡を形成。
リハビリ目的でA病院入院となり状態は一時的に改善、退院予定となったが、HDS-Rは10/30点と重度の認知機能低下を認めた。
主介護者は「認知症ではない」との認識で在宅対応可能と考えていたが、ケアマネおよび退院調整担当者より、通院介助困難かつ在宅指導が不可欠と判断。
本人・家族に説明し、訪問診療を導入した。
介入内容と経過
診療方針:認知症進行への配慮と褥瘡管理を軸とし、生活環境調整と介護者教育を併せて実施する。
医療介入:
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褥瘡の状態評価および処置管理
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認知症症状に対する全身管理
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全身状態の定期モニタリング
多職種連携:
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ケアマネ、訪問看護との情報共有
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退院調整部門との方針統一
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主介護者への指導支援
生活支援・環境調整:
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体位変換指導および生活動線の見直し
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介護負担を考慮した支援体制整備
経過・結果:
在宅移行後は褥瘡再発予防と状態安定を図りながら在宅生活を継続。
介護者への継続的な説明・指導を通じて、療養環境の改善を進めている。
支援のポイント
・認知症に対する介護者の理解不足を早期に是正し、ケアの質向上につなげた。
・褥瘡管理と生活環境調整を一体的に行うことで在宅療養継続の基盤を整えた。
・退院支援部門、ケアマネ、訪問看護との密な連携が安定化に寄与した。
付記情報
疾患種別:神経疾患/皮膚・褥瘡
関連病名:認知症、右腰部褥瘡
医療処置:褥瘡処置
エリア:名古屋市守山区
生活環境:次男と二人暮らし、長男県外在住
介護者状況:次男が主介護者、認知症に対する理解支援が必要
医療負担割合:1割