在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/12/03
膵頭部がんによる消化管閉塞に対し、BSC方針で在宅療養へ移行したケース
要点サマリー
膵頭部がんによる閉塞性黄疸および十二指腸閉塞を来した患者に対し、積極的治療は希望せずBSC方針を選択した。
入退院を繰り返しながら症状コントロールを行うも、在宅療養の希望が明確となり訪問診療を導入した。
疼痛管理と点滴による全身管理を中心に、自宅での生活継続を支援した。
基本情報
年齢・性別:70歳 男性
居住エリア:名古屋市守山区
家族構成(KP):妻と二人暮らし
医療保険・介護保険:生活保護、介護保険新規申請中
主病・背景
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膵頭部がん
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十二指腸潰瘍
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膵がんによる閉塞性黄疸、十二指腸閉塞
生活背景:
本人・妻ともに積極的治療は希望せず、苦痛を抑えながら自宅で過ごすことを最優先とする意向が明確であった。
訪問診療導入の経緯
白色便、肝機能障害、黄疸を契機に精査を受け、膵頭部がんによる閉塞性黄疸が疑われ胆管ステント留置が施行された。
手術や化学療法は希望せず、BSC方針で外来フォローとなった。
その後、嘔吐と食欲不振で再受診し、腫瘍浸潤による十二指腸閉塞が疑われ、胃十二指腸ステント留置により一時的に食事摂取が可能となった。
退院後も全身状態の悪化が進行し症状コントロール目的で再入院。
再度自宅療養を強く希望されたため、在宅での緩和対応が妥当と判断され訪問診療を開始した。
介入内容と経過
診療方針:BSCに基づき、疼痛緩和と全身状態の安定化を最優先とした在宅療養支援を行う。
医療介入:
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オピオイドによる疼痛コントロール
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点滴による補液・全身管理
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消化管症状および全身状態の経過観察
多職種連携:
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訪問看護との情報共有による症状変化の早期把握
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ケアマネとの連携による介護保険申請支援
生活支援・環境調整:
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妻への介護・見守り支援
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急変時の対応方針の共有
経過・結果
訪問開始後は在宅で療養を継続し、疼痛および全身症状の緩和を図りながら自宅での生活を支援している。
支援のポイント
・積極的治療を行わない方針を明確化し、早期に在宅緩和へ移行した。
・消化管閉塞による摂食困難や疼痛に対し、医療的介入を最小限かつ効果的に実施した。
・生活保護下でも継続可能な医療・介護体制の構築を重視した。
付記情報
疾患種別:悪性腫瘍/消化器疾患/終末期
関連病名:膵頭部がん、十二指腸潰瘍、閉塞性黄疸、十二指腸閉塞
医療処置:オピオイド使用、点滴施行
エリア:名古屋市守山区
生活環境:妻と二人暮らし
介護者状況:妻が主介護者
医療負担割合:生活保護対応