在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/27
S状結腸がんと骨折後のADL低下により在宅療養へ移行したケース
要点サマリー
S状結腸がんの進行と転倒による圧迫骨折を背景にADLが大きく低下し、入退院を経て在宅復帰となった。
通院が難しい状態であったため、退所と同時に訪問診療を開始し、緩和ケアと生活支援を中心に自宅療養を継続した。
家族との連携のもと、移動能力の変化に応じた体調管理と生活調整を行った。
基本情報
年齢・性別:78歳 女性
居住エリア:名古屋市東区
家族構成(KP):長男と二人暮らし(KP:長男)
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、身体障害手帳、福祉給付金資格者証、要介護3(1割)
主病・背景
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S状結腸がん
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多発肺転移
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肝転移
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大動脈周囲リンパ節転移
生活背景:
転倒と圧迫骨折を契機に寝たきりとなり、老健入所を経て在宅復帰した。
訪問診療導入の経緯
比較的自立して生活していたが、転倒により腰椎圧迫骨折(L3)を発症し体動困難となった。
その後疼痛が増悪し、別の圧迫骨折(Th12)が明らかになり入院。
入院後、リハビリ目的で老健へ入所し、歩行器での移動が可能なレベルまで改善した。
自宅退所に合わせ、通院困難な状況も踏まえて訪問診療を希望し、当院が介入した。
介入内容と経過
診療方針:がんの進行と移動能力の低下を踏まえ、症状緩和と生活支援を中心に在宅療養を支える。
医療介入:
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疼痛コントロール
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全身状態のモニタリング
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がんの進行に伴う症状変化への対応
多職種連携:
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訪問看護との情報共有
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介護支援専門員との調整による生活環境の整備
生活支援・環境調整:
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寝たきり予防のための動作支援
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家庭内での動線調整と介護負担軽減の助言
経過・結果:
訪問診療導入後、痛みや体動困難の変化に応じた緩和ケアを継続し、家族と共に在宅生活を支えた。
退所後の生活移行をスムーズに行い、再入院を避けながら在宅療養の安定化を図った。
支援のポイント
・圧迫骨折後のADL低下に対し、退所タイミングに合わせて訪問体制を構築した。
・がんと整形疾患の双方に着目し、疼痛・移動能力・生活動作のバランスを見た支援が重要であった。
・長男を中心とした家族支援体制を整え、負担が偏らないよう連携を図った。
付記情報
疾患種別:悪性腫瘍/整形外科疾患
関連病名:S状結腸がん、多発肺転移、肝転移、大動脈周囲リンパ節転移、圧迫骨折
エリア:名古屋市東区
生活環境:長男と二人暮らし
介護者状況:長男がKP
医療負担割合:1割(後期高齢者)、1割(介護保険)