コラム2025/11/27
多発骨転移を伴う前立腺がん患者が在宅療養へ移行したケース
要点サマリー
前立腺がん(多発骨転移)に対し外来で内分泌治療を継続していたが、家族の希望で訪問診療へ移行した。
尿閉でバルーン留置歴があるものの抜去後は安定しており、在宅での経過観察が可能となった。
通院負担の軽減と生活環境に合わせた在宅フォローにより、安定した療養継続を支援した。
基本情報
年齢・性別:86歳 男性
居住エリア:名古屋市東区
家族構成(KP):妻と二人暮らし、KPは市内在住の長女/長男も市内在住
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、要介護1(1割)
主病・背景
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前立腺がん(多発骨転移)
生活背景:
家族のサポートがあり、在宅で療養を続けたいとの意向があった。
訪問診療導入の経緯
2021年10月末、生検にてPSA1448・前立腺がんと診断。多発骨転移を認め、A病院泌尿器科で内分泌治療を開始。
2022年5月の相談時点ではPSA6.22と低下傾向を示していた。
尿閉によりバルーンカテーテルを留置していたが、2022年5月に本人希望で抜去し、残尿もほぼなく経過良好。
家族が在宅医療を希望したことから、2022年5月より訪問診療を開始した。
介入内容と経過
診療方針:外来治療から在宅へ移行しつつ、前立腺がんの経過と生活状況を総合的に支える。
医療介入:
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排尿状況のモニタリング
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内分泌治療の効果を踏まえた全身状態の確認
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疼痛やADLの変化に応じた助言
多職種連携:
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ケアマネとの連携による生活支援体制の調整
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家族への情報提供と見守りサポート
生活支援・環境調整:
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在宅での排尿トラブル再発への対応方針共有
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家族介護負担への配慮と相談対応
経過・結果:
バルーン抜去後も残尿はほとんどなく、在宅で安定した経過を維持。
前立腺がんの経過観察を行いながら、自宅での療養生活を継続できている。
支援のポイント
・尿閉既往がある患者では、バルーン抜去後の排尿管理が重要であった。
・PSA値改善を踏まえ、在宅での経過観察が可能と判断し支援を継続した。
・家族の希望に沿った訪問体制を早期に構築することで、通院負担を軽減できた。
付記情報
疾患種別:悪性腫瘍
関連病名:前立腺がん(多発骨転移)
医療処置:なし(バルーンは抜去済み)
エリア:名古屋市東区
生活環境:妻と二人暮らし、長女がKP
介護者状況:家族サポート体制あり
医療負担割合:1割