在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/27
独居高齢者の認知症進行に伴う生活リスク増大を契機に訪問診療へ移行したケース
要点サマリー
独居で自立生活を送っていたものの、食品管理の不適切や嗅覚の鈍麻など認知症に伴う生活リスクが増大した。
帯状疱疹を機に訪問診療導入が検討され、かかりつけ医の引退も背景となり在宅医療へ移行した。
生活保護下での支援体制を整え、見守りと医療管理を組み合わせた在宅支援を開始した。
基本情報
年齢・性別:80歳 女性
居住エリア:名古屋市守山区
家族構成(KP):独居、息子(緑区在住)がKP
医療保険・介護保険:生活保護、要介護1(1割)
主病・背景
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アルツハイマー型認知症
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逆流性食道炎
生活背景:
独居で生活は概ね自立していたが、腐敗食品の放置、臭いへの気づきの鈍さなど認知機能低下が進行。食事は配食サービス利用。
訪問診療導入の経緯
配食サービス利用中、ヘルパーが右上腕〜頸部にかけての広範囲湿疹を発見。
かかりつけ医受診により帯状疱疹と診断され、抗生剤と外用薬で治療。
その際、主治医が引退予定であることが判明し、ケアマネから訪問診療の提案を受けた。
本人および家族が訪問診療の必要性を理解し、当院が介入することとなった。
介入内容と経過
診療方針:認知症に伴う生活リスクを軽減し、独居継続を可能な範囲で支援する。
医療介入:
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帯状疱疹の治療フォロー
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逆流性食道炎の内服管理
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認知症症状の評価と進行観察
多職種連携:
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ヘルパー・ケアマネとの連携強化
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食事管理や生活リスクへの情報共有
生活支援・環境調整:
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冷蔵庫内食品管理への助言
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見守り支援の強化(生活保護制度下のサービス活用)
経過・結果:
訪問診療開始後、生活リスクに対するモニタリングを継続しつつ、医療管理と見守り体制を確保。
独居環境の中でも、本人の生活を維持できるよう支援を継続している。
支援のポイント
・独居高齢者の認知症進行に伴う生活リスクを早期に把握し、在宅支援へつなげた。
・主治医引退というタイミングが、次の医療体制へのスムーズな移行につながった。
・生活保護制度下で利用可能なサービス提案を含め、生活面のリスク管理を強化した。
付記情報
疾患種別:認知症/慢性消化器疾患
関連病名:アルツハイマー型認知症、逆流性食道炎
エリア:名古屋市守山区
生活環境:独居、息子が支援
介護者状況:訪問介護・配食サービス利用
医療負担割合:生活保護、1割(介護保険)