在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/27
転倒とADL低下を契機に在宅療養へ移行した認知症高齢者のケース
要点サマリー
複数の慢性疾患を抱える高齢女性が転倒を契機にADLが低下し、通院困難となった。
家族は遠方に居住し、同居の夫も視覚障害があるため介助が難しく、訪問診療を導入した。
在宅での医療・リハビリ体制を整え、再入院を避けつつ生活の安定を支援した。
基本情報
年齢・性別:84歳 女性
居住エリア:名古屋市千種区
家族構成(KP):夫と二人暮らし、長女(さいたま市在住・3か月に1度帰省)
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、要介護2(1割)
主病・背景
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COPD
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胃がん術後(H18年)
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高血圧
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骨粗鬆症
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アルツハイマー型認知症
生活背景:
転倒を繰り返し、腰椎圧迫骨折後に寝たきりとなった。夫の視力障害により介助困難な状況であり、遠方に住む長女が定期的に支援に来訪している。
訪問診療導入の経緯
2021年8月に自宅で転倒し、腰椎圧迫骨折でA病院入院。退院後も転倒を繰り返し、徐々に腰痛・ADL低下が進行。
2022年8月には自宅トイレで倒れているところを発見され、搬送先でCOVID-19陽性が判明。岡崎市内の病院に入院した。
リハビリ転院先が見つからず自宅退院となり、通院介助が困難なため訪問診療を希望。
家族からは「必要に応じリハビリ入院などの対応を継続してほしい」との希望があり、当院が介入した。
介入内容と経過
診療方針:在宅環境下での再転倒予防と体調安定を図り、生活機能維持を目指す。
医療介入:
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慢性疾患の内服管理とモニタリング
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骨粗鬆症に対する疼痛・可動域管理
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呼吸状態の安定化支援(COPD管理)
多職種連携:
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訪問看護による体調観察と服薬確認
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ケアマネ・リハビリとの情報共有
生活支援・環境調整:
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転倒リスクのある動線改善の助言
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家族への見守り・介助方法の指導
経過・結果:
訪問導入後は大きな転倒なく在宅生活を継続。
体調変動時には早期介入を行い、再入院を防ぎつつ生活安定を支援している。
支援のポイント
・遠方家族・視覚障害を持つ配偶者という支援制約を踏まえ、早期に訪問体制を構築した。
・転倒リスクとADL維持の両面から生活動線・環境調整を実施した。
・医療・リハビリ・家族支援を一体化することで、在宅生活の安定化を図った。
付記情報
疾患種別:慢性呼吸器疾患/整形外科疾患/認知症
関連病名:COPD、胃がん術後、高血圧、骨粗鬆症、アルツハイマー型認知症
エリア:名古屋市千種区
生活環境:夫と二人暮らし、長女が定期的に支援
介護者状況:夫が主介護、視覚障害あり
医療負担割合:1割(後期高齢者)、1割(介護保険)