在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/10
独居高齢者が複数の慢性疾患を抱え、通院負担から訪問診療へ移行したケース
要点サマリー
慢性心不全や化膿性肩関節炎など多疾患を抱えた高齢独居患者に対し、繰り返す受診と入院を経て在宅での医療支援が必要となり訪問診療を導入した。
本人・家族ともに通院負担が大きく、在宅療養を継続するための医療体制整備が重要であった。
家族支援と在宅医療の組み合わせにより、独居でも安全に生活できる環境づくりを支えた。
基本情報
年齢・性別:100歳 女性
居住エリア:名古屋市名東区
家族構成(KP):独居、KPは長女(守山区小幡)、長男は長野県
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、要介護2(1割)
主病・背景
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慢性心不全
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右化膿性肩関節炎
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脊柱管狭窄症
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甲状腺機能低下症
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脂質異常症
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心房細動
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狭心症
生活背景:
独居であり、疾患の複雑性と受診負担の増大が在宅生活継続の大きな課題となっていた。
訪問診療導入の経緯
令和3年12月末、発熱・呼吸困難でA病院受診し、右化膿性肩関節炎の診断で入院。
その後リハビリ目的で1月末にB病院へ転院し、さらに包括病床で管理されたのち、4月に退院し自宅独居となった。
令和4年7月末にも胸部不快でA病院へ救急受診。
本人・家族ともに通院負担が大きく、在宅での医療管理の必要性が高いため、当院訪問診療を導入した。
介入内容と経過
診療方針:多疾患を踏まえ、心不全管理と感染再発予防を中心に、在宅生活を継続できる体制を整える。
医療介入:
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心不全症状の管理
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関節炎の経過観察と疼痛管理
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慢性疾患(甲状腺・脂質異常症)の継続治療
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感染兆候の早期把握
多職種連携:
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訪問看護との協働による日常的フォロー
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家族(長女)との連携強化
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生活支援サービスの活用調整
生活支援・環境調整:
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独居環境の安全確認
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転倒予防と生活導線の改善
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通院負担を軽減するための訪問体制構築
経過・結果:
訪問診療導入により、通院困難な状況でも多疾患の管理を在宅で継続できるようになった。
家族との連携を取りながら、独居でも安心して療養できる環境づくりを支援した。
支援のポイント
・独居高齢者の多疾患管理では、急性増悪時の早期対応と生活環境調整が重要であった。
・家族(長女)が遠方気味でも連絡体制を整え、支援を補完する仕組みを構築した。
・通院負担軽減のため、訪問で完結させる医療範囲を明確にし、在宅療養の継続を可能とした。
付記情報
疾患種別:心疾患/整形外科疾患/内分泌疾患/感染症
関連病名:慢性心不全、右化膿性肩関節炎、脊柱管狭窄症、甲状腺機能低下症、脂質異常症、心房細動、狭心症
エリア:名古屋市名東区
生活環境:独居、長女協力
介護者状況:長女が中心に支援、一部遠方の長男
医療負担割合:1割(医療・介護)