在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/10
進行胃がん・肝転移の患者が通院困難となり、経済的背景を踏まえて訪問診療へ移行したケース
要点サマリー
胃がん・肝臓がんの進行に伴い食思不振や貧血が悪化し、通院が困難となったため訪問診療を導入した。
経済的困窮が強く、費用負担を最小限にする支援が特に重要であった。
医療・介護制度の活用提案を含め、生活面と医療面の両面から在宅支援を行った。
基本情報
年齢・性別:82歳 男性
居住エリア:名古屋市天白区
家族構成(KP):本人と同居人の二人暮らし/長女は天白区で日中仕事、長男は死別
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、要介護2(1割)
主病・背景
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胃がん
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肝臓がん
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リンパ節転移
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第12胸椎転移
生活背景:
経済的困窮が強く、医療費負担が極めて難しい状況。家族は「できるだけ早く、費用負担を減らしたい」との意向が明確であった。
訪問診療導入の経緯
2021年8月に胃がんと診断され、入院精査を勧められたが本人が拒否。
2022年5月頃より食思不振が進行し、近医外来で週1回の点滴治療を受けていた。
貧血進行のため6月に短期入院し、CTでリンパ節転移・肝転移・胸椎転移を確認。
通院が困難となり、訪問診療を希望したため2022年8月末より介入開始となった。
面談時には医療費の持ち出しすら困難という訴えがあり、制度活用支援が必須であった。
介入内容と経過
診療方針:進行がんに伴う症状緩和を中心に、経済状況に配慮した在宅療養支援を行う。
医療介入:
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脱水・食思不振に対する支持療法
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疼痛管理
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全身状態の定期的評価
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必要最低限の医療負担で可能な範囲の支援
多職種連携:
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経済状況に応じた制度利用提案(丸福取得など)
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訪問看護との情報共有
生活支援・環境調整:
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医療費負担を最小限にするプランニング
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同居人・長女との連携
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在宅療養に必要な最低限の環境整備
経過・結果:
訪問診療導入後、経済的負担を考慮しながら症状緩和に重点を置いた在宅療養を開始した。
家族の意向を踏まえ、制度活用と医療負担軽減を意識した支援方針が重要となった。
支援のポイント
・経済的困窮ケースでは、医療行為そのものよりもまず制度活用と費用軽減策の提示が重要である。
・通院困難に加え、がん進行による症状変化に応じて柔軟な在宅対応が求められた。
・家族の強い意向を踏まえ、必要最小限で最大効果のある支援設計が求められた。
付記情報
疾患種別:悪性腫瘍
関連病名:胃がん、肝臓がん、リンパ節転移、胸椎転移
エリア:名古屋市天白区
生活環境:同居人との二人暮らし、長女は天白区在住
介護者状況:同居人および長女がサポート
医療負担割合:1割(医療・介護)
公費医療:丸福取得など制度利用が必要なケース