在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/05
転移性腎がんに対し在宅療養を選択し、多職種連携で緩和ケアを行ったケース
要点サマリー
転移性腎がんに対し化学療法を行うもADLが低下した患者に対し、本人・家族の意向により在宅療養を開始した。
腹部膨満への治療後、疼痛や症状緩和を中心とした在宅管理を行い、呼吸管理や栄養管理にも配慮した。
家族支援と訪問看護との連携により、住み慣れた自宅での療養継続を支援した。
基本情報
年齢・性別:90歳 男性
居住エリア:名古屋市千種区
家族構成(KP):妻と二人暮らし、KPは長男
医療保険・介護保険:後期高齢者医療2割、要介護1(1割)
主病・背景
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末期腎がん(肺転移)
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術後難治性食道炎
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肝嚢胞
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気管支喘息
生活背景:
自宅退院を希望し、できる限り住み慣れた環境で療養を続けたいとの意向が強かった。
訪問診療導入の経緯
2021年12月に腎臓がんが判明し、当初手術予定であったが肺転移が確認され、2021年12月下旬からオプジーボ+ヤーボイによる化学療法を開始。
2022年1月中旬、背部痛・食欲低下・腹部膨満が出現し、腹部膨満は肝嚢胞による可能性があり、相談のうえ嚢胞ドレナージ+PEITを施行し約3.5Lを排液、1月27日にチューブ抜去。
化学療法後よりADL低下が進行し、在宅療養を希望したため2022年2月初旬に訪問診療を開始した。
介入内容と経過
診療方針:癌の進行と全身状態の低下を踏まえ、疼痛緩和・呼吸管理・栄養サポートを中心とした在宅療養支援を行う。
医療介入:
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在宅酸素療法
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エルカトニン注射
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点滴療法
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疼痛緩和と全身状態のモニタリング
多職種連携:
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訪問看護との定期的情報共有
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家族への療養説明とケア支援
生活支援・環境調整:
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食事負担の軽減支援
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家族介護負担への配慮
経過・結果:
化学療法後のADL低下がありつつも、訪問開始後は自宅で療養を継続。
症状変化に応じて緩和ケアを調整し、在宅での生活を支えた。
支援のポイント
・急性期治療後のADL低下に対し、早期から在宅体制を整えたことが療養継続に寄与した。
・腹部膨満や疼痛など症状変化に応じた個別調整を行い、緩和的介入を中心に対応した。
・家族の意向と支援体制を尊重し、安心して自宅療養できる環境を整えた。
付記情報
疾患種別:悪性腫瘍/終末期
関連病名:腎がん(肺転移)、術後難治性食道炎、肝嚢胞、気管支喘息
医療処置:在宅酸素療法、エルカトニン注射、点滴
エリア:名古屋市千種区
生活環境:妻と二人暮らし、長男がKP
介護者状況:家族介護体制あり
医療負担割合:2割(後期高齢者)、1割(介護保険)