在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/05
多疾患・重度介護状態の高齢患者が在宅療養と看取りを希望し、自宅で最期を迎えたケース
要点サマリー
慢性心不全や肺塞栓症など複合的な疾患を抱えた高齢患者に対し、家族の希望により在宅療養を選択したケースである。
褥瘡管理や呼吸状態の変化に対する迅速な介入を行い、訪問看護との連携を強化しながら経過を見守った。
状態悪化後も本人・家族の意思に沿い、自宅で看取りを実現した。
基本情報
年齢・性別:93歳 男性
居住エリア:名古屋市港区
家族構成(KP):本人と次男の二人暮らし、長女も近隣で支援可能(KP:次男)
医療保険・介護保険:後期高齢者医療1割、身体障害者手帳、福祉給付金、要介護5(1割)
主病・背景
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うっ血性心不全
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両側肺塞栓症
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左気胸
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急性胆嚢炎/胆嚢破裂
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神経因性膀胱
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左手背皮膚剥離
生活背景:
複数の重大疾患と高度な要介護状態であったが、家族の希望により在宅療養を選択し、自宅での生活継続を強く望んだ。
訪問診療導入の経緯
2022年1月に肺炎で入院し、2月28日に退院。
退院後状態悪化により3月7日に再入院し、慢性心不全増悪に対し利尿剤調整などで改善。
療養病床転院が検討されたが、家族が自宅療養を希望し、2022年4月初旬に退院。
在宅療養希望に基づき訪問診療を開始した。
介入内容と経過
診療方針:患者と家族の意思を尊重し、在宅療養と自宅看取りを前提とした支援を行う。
医療介入:
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尿道留置カテーテル管理
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褥瘡処置(ゲーベン処方、エアマット導入、デブリードマン)
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在宅酸素療法(9月開始)
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病状悪化時の緊急訪問対応
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点滴希望に応じた緩和方針調整
多職種連携:
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訪問看護の特別指示による頻回介入
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家族との随時情報共有
生活支援・環境調整:
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エアマット導入による体圧分散
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家族の介護負担に配慮した支援体制
経過・結果:
4月より在宅療養開始。褥瘡は訪問看護と処置強化により8月には改善傾向となった。
9月に血尿と倦怠感出現、SpO2低下に伴い在宅酸素導入。
状態悪化の中、家族の見守りのもと9月15日に自宅で逝去された。
支援のポイント
・多疾患による変動リスクが高く、症状変化に応じた迅速な訪問・処置が必要であった。
・褥瘡管理はエアマット導入と訪問看護の頻回介入で改善を図れた。
・家族の希望を重視し、看取り方針を早期に確認することで在宅支援を円滑にした。
付記情報
疾患種別:心不全/呼吸器疾患/胆道疾患/泌尿器疾患/褥瘡
関連病名:うっ血性心不全、肺塞栓症、左気胸、急性胆嚢炎/胆嚢破裂、神経因性膀胱、褥瘡
医療処置:尿道留置カテーテル、褥瘡処置、在宅酸素療法
エリア:名古屋市港区
生活環境:次男と二人暮らし、長女の支援あり
介護者状況:次男がKP、家族支援体制あり
医療負担割合:1割
注意事項:アルコール禁止