MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/05

末期心不全の患者が在宅療養と看取りを希望し、自宅で最期を迎えたケース

要点サマリー

長年の心疾患治療後、末期心不全となった患者に対し、病院での緩和入院という選択肢もあったが、本人の強い希望により在宅療養が選択された。
訪問診療により体重・症状管理と緩和ケアを行い、状態悪化時には適切な薬剤調整と家族支援を実施した。
緩和治療強化の方針のもと、自宅で穏やかな看取りを実現した。

基本情報

年齢・性別:73歳 男性
居住エリア:名古屋市瑞穂区
家族構成(KP):妻と二人暮らし、長女は別居
医療保険・介護保険:後期高齢者医療(1割、福祉給付金資格者証)、要介護2(1割)

主病・背景

  • 慢性心不全

  • 大動脈弁閉鎖不全症

  • 僧帽弁閉鎖不全症

生活背景:
限られた予後の中で自宅で過ごしたいとの希望が強く、療養方針はQOL重視であった。

訪問診療導入の経緯

2005年に急性心筋梗塞・心原性ショックで入院し、以後約15年間外来通院を継続。
2020年10月、自宅で心室細動となり救急搬送。心機能悪化により末期心不全と判断された。
入退院を繰り返す中、2021年12月時点で予後数ヶ月と見込まれ、緩和目的の転院も検討されたが、患者が「残りの時間は自宅で過ごしたい」と希望。
訪問診療を導入し、在宅での水分・塩分管理と症状緩和を中心に療養を開始した。

介入内容と経過

診療方針:QOLを尊重し、自宅での療養継続と看取りを目指す。

医療介入:

  • 体重管理、食事調整(塩分・水分制限)

  • 心不全症状のモニタリング

  • 疼痛緩和薬の調整

  • HOT、Baカテーテル

多職種連携:

  • 訪問看護による日常観察と情報共有

  • 家族への説明と介護支援

生活支援・環境調整:

  • 日常生活支援の助言

  • 家族と共に看取り方向性を確認

経過・結果:
訪問開始後しばらくは体重管理と食事制限が保たれ、在宅生活を継続。
2021年2月から食欲低下・皮膚掻痒・体重管理不良が進行。
2021年4月、心不全と腎不全が進行し終末期と説明し、疼痛緩和を強化。
同月、呼吸状態悪化により自宅で看取りとなった。

支援のポイント

・心不全終末期における療養目標を明確化し、本人希望に沿った在宅方針を確認した。
・体重・症状管理と早期変化把握により、緩和治療への移行をスムーズに行った。
・家族が安心して看取りに臨めるよう情報提供と伴走支援を行った。

付記情報

疾患種別:心疾患/終末期
関連病名:慢性心不全、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症
医療処置:HOT、Baカテーテル
エリア:名古屋市瑞穂区
生活環境:妻と二人暮らし、長女別居
介護者状況:妻が主介護
医療負担割合:1割(後期高齢者医療)、1割(介護保険)