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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/05

進行肺がんに対して在宅緩和ケアにより家族とともに最期を迎えたケース

要点サマリー

進行肺がんにより予後1〜2ヶ月と見込まれた患者に対し、在宅での看取りを希望したため訪問診療を導入した。
疼痛コントロールと呼吸状態の緩和を図りつつ、訪問看護と家族支援を中心に在宅療養を支えた。
多職種連携と家族の手厚い介護により、約1ヶ月の自宅療養期間を穏やかに過ごし、自宅で家族に見守られて最期を迎えた。

基本情報

年齢・性別:64歳 男性
居住エリア:名古屋市西区
家族構成(KP):妻と二人暮らし/長男夫婦は敷地内居住
医療保険・介護保険:国民健康保険(3割)、要介護3(1割)

主病・背景

  • 肺がん末期

  • 癌性疼痛

  • 高血圧症

  • 糖尿病

生活背景:自宅での療養継続と家族と過ごす時間を最優先とする希望が強かった。

訪問診療導入の経緯

2021年8月にCOVID-19罹患時のCTで左肺上葉に腫瘤影を認め、2021年10月に左上葉切除術を施行。
2022年2月に歩行障害と排尿・排便障害が出現し、精査で脊椎転移を認め、再発として緊急手術と放射線治療、化学療法を実施。
その後大腿骨や骨盤骨転移が出現し、がんの進行(PD)と判断。食事量低下・全身状態悪化・嗄声出現による窒息リスクも高く、予後1〜2ヶ月と見込まれた。
「可能な限り自宅で過ごしたい」という希望に沿い、訪問診療を開始した。

介入内容と経過

診療方針:苦痛緩和、呼吸状態の管理、尊厳を保った在宅療養の支援。

医療介入:

  • 疼痛コントロール

  • 呼吸状態の評価と在宅酸素療法

  • 経過悪化時の迅速な緩和調整

多職種連携:

  • 訪問看護との緊密な連携

  • 家族支援と介護負担への配慮

生活支援・環境調整:

  • 介護体制の確認

  • 見守り体制の強化

経過・結果:
訪問導入から約1ヶ月、自宅で穏やかな経過をたどり、家族に見守られて静かに永眠した。医療的管理に加え、家族支援を重視したことで、希望に沿った在宅看取りが実現できた。

支援のポイント

・疼痛緩和と呼吸症状を中心とした適切な緩和ケアが重要であった。
・状態変化が急速に進む中で、訪問看護との密な情報共有により迅速な対応が可能となった。
・家族の介護意欲を尊重しつつ、負担が増大しすぎないよう伴走型の支援を行った。

付記情報

疾患種別:悪性腫瘍/終末期
関連病名:肺がん、癌性疼痛、高血圧症、糖尿病
医療処置:在宅酸素療法
エリア:名古屋市西区
生活環境:妻と同居、長男夫婦が敷地内居住
介護者状況:妻が主介護、家族による見守り体制
医療負担割合:3割