在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/11/05
心不全と慢性疾患を抱える高齢者が家族支援と多職種連携により在宅療養を継続できたケース
要点サマリー
慢性心不全・糖尿病・慢性腎臓病など複数疾患を抱える高齢者に対し、退院後の通院困難を背景に訪問診療を導入したケースである。
患者の希望に沿い自宅療養を継続する一方、介護者負担が課題であったが、多職種が密に情報共有し、家族支援を中心に体制を整えた。
介入約1年が経過し、病状管理と介護者支援の両輪により自宅療養を継続できている。
基本情報
年齢・性別:85歳 男性
居住エリア:名古屋市守山区
家族構成(KP):妻と二人暮らし(KP:妻)/長男・次女は守山区、長女は日進
医療保険・介護保険:後期高齢者1割、福祉給付金資格者証、要介護3(1割)
主病・背景
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2型糖尿病
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慢性心不全
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発作性心房細動
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慢性腎臓病
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アルコール性肝硬変の既往、高アンモニア血症歴
生活背景:自宅で過ごすことを強く希望。妻は献身的に介護するも、患者からの言動により精神的疲弊がみられる。
訪問診療導入の経緯
A病院にて誤嚥性肺炎と心不全で入院後、強い希望により2022年9月初旬に退院。
翌日に自転車での転倒により救急搬送され、B病院で脱水治療・胸水管理・多剤調整等を実施。退院希望強く、2022年10月初旬に退院。
アルコール性肝硬変による高アンモニア血症の既往があり、再度の急性増悪が懸念される状況であった。
通院負担と在宅希望を踏まえ、訪問診療を開始した。
介入内容と経過
診療方針:心不全・肝障害・慢性腎臓病の増悪予防と、生活環境調整を通じた在宅療養継続を目指す。
医療介入:
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脱水・体液管理、服薬調整
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BCAA、リフキシマ、下剤等の継続
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定期訪問による全身状態把握と急性変化時対応
多職種連携:
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CM・訪看・家族間での継続的な情報共有
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妻の負担軽減を意識した連携体制
生活支援・環境調整:
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家族支援を中心とした介護負担調整
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社会資源活用案内と心理的支援
経過・結果:
介入開始から約1年、病状は適切に管理され、自宅療養を継続中。介護者の疲弊がみられる局面もあるが、早期共有と支援調整により在宅継続が可能となっている。
支援のポイント
・医療管理に加え、介護者の心理的・身体的負担を早期に把握する視点が重要である。
・ケアマネ・訪看との情報共有を密に行い、負担感が高まる前に支援策を調整した。
・「病状管理」と「介護者支援」の両輪で在宅療養継続を図った。
付記情報
疾患種別:慢性疾患/心不全/肝疾患
関連病名:2型糖尿病、慢性心不全、発作性心房細動、慢性腎臓病、アルコール性肝硬変、高アンモニア血症
医療処置:薬剤調整、体液管理
エリア:名古屋市守山区
生活環境:自宅、妻と二人暮らし
介護者状況:妻が主介護者、精神的負担あり
医療負担割合:1割
公費医療:福祉給付金資格者証
障害者手帳・認定情報:なし