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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/10/21

誤嚥性肺炎と褥瘡管理を背景に在宅療養を継続したレビー小体型認知症の支援

基本情報

75歳 女性/名古屋市中区在住
家族構成:本人・長女の2人暮らし(同区内に次女)
キーパーソン:長女

保険・福祉情報

後期高齢者医療保険 1割負担
要介護2(介護保険 1割負担)

診断名

レビー小体型認知症
腰椎圧迫骨折
仙骨部褥瘡
誤嚥性肺炎

導入の背景

他院でアルツハイマー型認知症と診断され通院治療を受けていたが、着衣失行や易怒性、介護抵抗などの症状が顕著となり、通院先を変更した経緯がある。誤嚥性肺炎を発症し、食事摂取が困難となったため経鼻胃管管理が開始され、在宅介護量が増加。家族のみでの対応が困難となり、訪問診療の導入を希望した。

介入内容と経過

初診後は看護小規模多機能型居宅介護を併用しながら自宅療養を継続した。認知症により意思疎通が難しく介護抵抗も見られる中、経鼻胃管の管理や褥瘡処置を実施しつつ在宅生活の継続を支援した。途中、顎関節脱臼が疑われる連絡を受け往診で整復対応を行った。その後、再度同様の連絡を受け往診準備を進める中で、施設側から心肺停止の報告があり病院搬送。搬送先医療機関にて看取りとなった。

医療対応の詳細

・褥瘡管理(仙骨部)
・経鼻胃管(NGチューブ)交換
・誤嚥性肺炎後の栄養管理と感染リスク対応
・顎関節脱臼疑いへの往診対応

支援のポイント

・認知症に伴う介護抵抗を踏まえ、家族とサービス事業所との連携を重視した
・看多機(小規模多機能)との併用により、在宅継続に必要な見守りとレスパイトを確保
・嚥下リスクに対する早期対応体制を整備
・急変時の対応方針をキーパーソンと事前に共有し、迅速な意思決定を支援

考察

誤嚥性肺炎と医療的ケアを伴う認知症在宅療養では、家族の介護負担軽減と医療連携の早期構築が不可欠である。本症例では、看多機の利用と訪問診療の組み合わせにより在宅療養期間を確保できた。一方で、急変時対応や意思決定支援の難しさは課題として残り、今後も認知症終末期支援における地域連携強化が求められる。

付記情報

・疾患種別:認知症/慢性期・終末期
・病名:レビー小体型認知症、腰椎圧迫骨折、仙骨部褥瘡、誤嚥性肺炎
・医療処置:褥瘡処置、NGチューブ交換
・エリア:名古屋市中区
・生活環境:自宅療養(看多機併用)
・医療負担割合:1割
・専門医介入:なし
・公費負担医療:なし
・障害者手帳・認定情報:なし