在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/10/21
心房細動・心不全を併存した高齢患者への訪問循環器管理
要点サマリー
慢性心不全・COPD・心房細動を併存する高齢患者に対し、ペースメーカー留置後の再発リスクを考慮しながら在宅酸素療法を導入。訪問看護と連携し、日々の体重変化・服薬・酸素管理をチームで見守る体制を構築した。外来通院が困難になっても、再増悪を防ぎつつ自宅での安定した療養を継続している。
基本情報
83歳 女性
名古屋市守山区在住
長女夫妻との3人暮らし(夫は他界)
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険:1割負担
介護保険:要介護2(1割)
診断名
持続性心房細動/高血圧症/慢性心不全/慢性閉塞性肺疾患(COPD)
導入の背景
持続性心房細動と慢性心不全を基礎疾患にもち、入退院を繰り返していた。
アブレーションおよび洞不全症候群に対するペースメーカー留置後も心房細動が再発。夜間低酸素による心不全増悪が懸念されたため、在宅酸素療法の導入が決定された。退院を契機に訪問診療を開始した。
介入内容と経過
訪問診療導入後も心不全再燃により再入院を経験したが、退院後は通院困難となったため、当院での訪問診療に一本化。ペースメーカーチェックも訪問下で実施する体制を構築した。
訪問看護と連携し、体重・酸素飽和度・服薬状況の変化を細やかに確認し、早期の兆候把握と生活支援を両立している。
医療対応の詳細
医療処置:在宅酸素療法(HOT)
ペースメーカー管理、心不全・COPDの薬物調整、訪問看護連携による体調モニタリング
支援のポイント
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夜間の低酸素・心不全増悪リスクに対し、酸素管理と体重変化の定期観察を重点化。
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服薬アドヒアランスの維持を目的に、家族への服薬支援指導を実施。
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在宅酸素・ペースメーカー併用による不安軽減のため、看護師による継続的な見守り体制を確立。
考察
循環器疾患を複数併存する高齢者では、医療機器(ペースメーカー・HOT)を在宅で適切に運用する体制づくりが重要である。
本症例では、訪問診療・看護・家族の三者連携により、再入院を最小限に抑えつつ在宅療養を安定的に継続できている。
付記情報
疾患種別:循環器疾患/呼吸器疾患
病名:慢性心不全、COPD、心房細動、高血圧症
医療処置:HOT使用中、ペースメーカー管理
エリア:名古屋市守山区
生活環境:長女夫妻との3人暮らし
医療負担割合:1割
専門医介入:循環器内科
公費負担医療:該当なし
障害者手帳・認定情報:該当なし