■要点サマリー
高齢認知症患者が誤嚥性肺炎を反復しADLが低下、通院困難から訪問診療へ移行した事例である。在宅医療へ移行直後も急変リスクが高く、早期の多職種連携と急性期病院との連携体制構築が重要となる。
■ 基本情報
94歳男性。名古屋市名東区在住。家族は妻・長女・三女との4人暮らし。キーパーソンは三女。
■ 保険・福祉情報
後期高齢者医療保険1割負担。介護保険は要介護1。
■ 診断名
認知症、腰椎圧迫骨折、誤嚥性肺炎、頚椎ヘルニア術後。
■ 導入の背景
慢性疾患に対して近医で外来加療を継続していたが、誤嚥性肺炎を発症し入院治療を受けた。退院後に再度誤嚥性肺炎で再入院となり、再び治療後に自宅退院となった。ADLが低下しており通院継続は困難と判断され、訪問診療依頼となった。
■ 介入内容と経過
退院当日より訪問診療を開始し、自宅療養への移行を支援した。しかし導入から間もない時期に神経学的症状を認め、脳梗塞が疑われたため緊急搬送となった。その後入院先で療養継続となり、院内で逝去となった。
■ 医療対応の詳細
訪問診療では誤嚥リスク管理、栄養と水分摂取の評価、再発予防のための生活指導を行った。また急変リスクを共有し、緊急搬送体制の確認を事前に実施していた。
■ 支援のポイント
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誤嚥性肺炎を複数回繰り返した症例は急変リスクが極めて高い
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退院直後の移行期医療では訪問看護との早期連携が重要
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急変時搬送先を事前共有し、家族と方針確認することが重要
■ 考察
本症例は「誤嚥性肺炎→入退院を繰り返す→在宅移行」というよくあるパターンであるが、在宅導入のタイミングでは急性増悪のリスクが高いことを再認識させる事例である。導入初期はモニタリングと迅速対応体制の構築が特に重要である。
■ 付記情報
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疾患種別:慢性疾患(認知症・整形疾患)/感染症(誤嚥性肺炎)
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病名:認知症、腰椎圧迫骨折、誤嚥性肺炎、頚椎ヘルニア術後
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医療処置:該当なし
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エリア:名古屋市名東区
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生活環境:家族同居
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医療負担割合:1割負担
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専門医介入:急性期病院(内科)
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公費負担医療:該当なし
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障害者手帳・認定情報:該当なし