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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/10/16

統合失調症と身体合併症を抱える患者に対する多職種連携支援のケース

■ 基本情報

年齢・性別:54歳・男性
住所:名古屋市千種区
家族構成:母親との2人暮らし(キーパーソンは母)

■ 保険・福祉情報

介護保険:非該当
医療保険:健康保険(詳細不明)

■ 診断名

仙骨部褥瘡、左臀部瘻孔、末期腎不全、統合失調症

■ 導入の背景

統合失調症の発症以降、服薬の中断や再燃を繰り返し、不安や抑うつ、不眠、希死念慮などの症状が強くみられた。シャント部への自傷行為もあり、過去には精神科病院への入院歴を複数回有していた。
また、母親への暴力行為や近隣住民とのトラブルも発生しており、家庭内外でのサポート体制に限界が生じていた。
慢性腎不全による透析通院や褥瘡処置など身体的負担も重なり、通院継続が困難となったため、在宅での医療支援体制を整える目的で訪問診療を導入した。

■ 介入内容と経過

訪問診療導入後は、内科医を主治医とし、精神科医が必要に応じてスポットで介入する二重体制を構築。
統合失調症に対しては抗精神病薬による安定化を図り、訪問看護による服薬サポートを併用して再燃防止を図った。
腎不全に対しては透析治療を継続しつつ、創部感染や脱水予防を目的に定期モニタリングを実施。
仙骨部褥瘡や膀胱瘻の管理については、訪問看護と連携し、体位変換・スキンケア・創部観察を継続して行っている。
現在も定期訪問を継続し、身体的・精神的両面からの支援を行っている。

■ 医療対応の詳細

・主治医(内科):月2回の定期訪問で全身管理
・精神科医:月1回程度のスポット訪問による薬物療法調整
・訪問看護:服薬支援、創部ケア、感染予防、生活指導
・透析継続支援:病院との連携による通院サポート
・家族支援:母親への介護・心理的支援の実施

■ 支援のポイント

・訪問看護との連携により、服薬中断リスクを最小化し精神状態を安定化。
・精神科と内科の併用管理により、急性増悪時も早期対応が可能な体制を確保。
・身体疾患に対しては創部・膀胱瘻のケアを継続し、再感染を防止。
・母親の支援を重視し、介護負担の軽減と再発リスク低減に努めた。

■ 考察

本症例は、慢性精神疾患と身体合併症が重なったケースにおいて、医療・看護・家族支援の三位一体での支援が在宅維持の鍵となった例である。
身体管理のみならず、服薬遵守支援や心理的安定化を並行して行うことで、長期的な在宅療養を実現している。
医療・福祉の連携を持続的に維持することが、再燃・再入院の防止に寄与している。

■ 付記情報

・疾患種別:精神疾患+身体合併症
・病名:統合失調症、末期腎不全、仙骨部褥瘡、左臀部瘻孔
・医療処置:褥瘡処置、膀胱瘻管理
・エリア:名古屋市千種区
・生活環境:母親との2人暮らし
・医療負担割合:3割
・専門医介入:内科・精神科
・公費負担医療:不明
・障害者手帳・認定情報:不明