在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/10/08
末期胃がんの高齢女性、自宅で最期まで療養を続けられたケース
基本情報
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年齢・性別:83歳・女性
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居住地:名古屋市千種区
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家族構成:本人と長男の2人暮らし。長女は市外在住で週2~3回訪問。
保険・福祉情報
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医療保険:後期高齢者医療保険(1割負担)
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介護保険:要介護3(1割負担)
診断名
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胃がん(Stage IV)
導入の背景
2022年5月、貧血を契機にA病院消化器内科を受診し、上部消化管内視鏡で胃がんを診断。CTではリンパ節転移が疑われ、Stage IVと判定された。家族は化学療法を希望せず、経口摂取は可能であったため、在宅での療養を希望。本人・家族ともに名古屋市での生活を継続したい意向があり、2023年3月より当院訪問診療を導入した。
介入内容と経過
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2023年3月:訪問診療開始。予後6か月程度と見込まれた。
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4月1日:嘔吐・摂食不良が出現。点滴およびデカドロン内服を導入したところ、水分摂取・食欲が改善。点滴は中止できた。
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6月:疼痛と咳嗽が増悪。オピオイドをワントラムからナルサスへ変更し、症状コントロールを図った。
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9月:家族に見守られながら、自宅で静かに最期を迎えられた。
医療対応の詳細
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疼痛コントロール(オピオイド調整)
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嘔吐・摂食不良への支持療法(点滴、ステロイド使用)
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経口摂取継続のための調整
支援のポイント
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化学療法を望まない患者・家族の意向を尊重し、自宅療養を基盤とした緩和医療を提供できた。
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点滴や薬剤調整により、生活の質を保ちながら在宅療養を継続できた。
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最期まで家族が寄り添える体制を整えたことが、在宅看取りの実現につながった。
考察
末期がん患者の在宅療養では、症状緩和と家族の支援体制が両輪となる。本症例は、短期間でありながら在宅医療による症状コントロールが奏功し、患者と家族が希望した「自宅での最期」を実現できた点で、在宅緩和ケアの意義を示すものである。
付記情報
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疾患種別:悪性腫瘍
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病名:胃がん(Stage IV)
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医療処置:なし
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エリア:名古屋市千種区
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生活環境:長男と同居、長女の定期訪問あり
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医療負担割合:1割
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専門医介入:消化器内科
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公費負担医療:記載なし
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障害者手帳・認定情報:記載なし