在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
心疾患とフレイルを背景に、通院困難となった高齢独居女性の在宅支援
基本情報
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年齢・性別:92歳・女性
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居住地:名古屋市守山区
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家族構成:独居。独身。弟(キーパーソン)が近隣に居住し、毎日訪問して支援している。
保険・福祉情報
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医療保険:後期高齢者医療(1割負担)
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介護保険:要介護3(1割負担)
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公費:丸福あり
診断名
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狭心症(2008年カテーテル治療歴あり)
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慢性心不全
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高血圧症
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慢性腎臓病(CKD)
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慢性心房細動
導入の背景
2008年に狭心症を発症し、以降A病院で継続的に治療を受けていた。しかし加齢に伴い腎機能障害や心不全の増悪が進行し、入院を繰り返すようになった。フレイルも進行し、外来通院が困難になったため、2022年12月に当院で訪問診療を開始した。
介入内容と経過
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2023年2月、便潜血反応陽性でちくさ病院へ精査入院。上部消化管内視鏡では萎縮性胃炎が認められたが、同時に肺炎を発症し入院治療を要した。
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肺炎改善後も心不全とCOPDの影響で酸素離脱が難しく、同年4月に施設入所へ移行。
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5月、施設内でベッドから転落しB病院を受診。左大腿骨転子部骨折と診断され、骨接合術を施行。術後は胸水貯留と貧血による酸素化低下があったが治療により改善。
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5月末にちくさ病院へ転院し、リハビリを経て7月に当院関連施設「アイシア吹上」へ退院。現在も施設での療養生活を継続している。
医療対応の詳細
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慢性心不全・心房細動に対する内科的管理を継続。
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酸素療法の導入と離脱調整を実施。
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骨折後の術後管理とリハビリを経て、在宅・施設間での移行を支援。
支援のポイント
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高齢独居であり、弟が生活支援を担っていたことが在宅療養継続の支えとなった。
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急変や転倒などのリスクが高く、病院・施設・在宅の連携が不可欠であった。
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長期的には施設入所を含む柔軟な療養環境の調整が必要となった。
考察
本症例は、複数の慢性疾患を抱える高齢独居女性に対し、在宅医療を基盤としながら施設・病院との連携を繰り返し行うことで、療養生活の安定を図った事例である。家族支援が近隣に存在したことが、在宅継続と施設移行の両立を支える要因となった。
付記情報
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疾患種別:循環器・呼吸器・内科系疾患
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病名:狭心症、慢性心不全、高血圧症、CKD、慢性心房細動
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医療処置:在宅酸素療法、骨接合術(入院時)
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エリア:名古屋市守山区
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生活環境:独居(弟が近隣で支援)
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医療負担割合:1割
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専門医介入:あり(A病院、B病院、ちくさ病院)
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公費負担医療:丸福あり
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障害者手帳・認定情報:記載なし