在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
外陰癌再発後、緩和ケアを選択し在宅で最期を迎えたケース
基本情報
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年齢・性別:93歳・女性
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居住地:名古屋市西区
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家族構成:本人、長男夫婦と3人暮らし。キーパーソンは長男の妻。次男は他区に在住。
保険・福祉情報
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医療保険:後期高齢者医療(1割負担)
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介護保険:要介護1(1割負担)
診断名
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外陰癌
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鼠径リンパ節転移
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肝転移の疑い
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高血圧症
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骨粗鬆症
導入の背景
2020年10月、近医で外陰部腫瘤を指摘されS医療センターを受診。局所切除の結果、外陰癌と診断された。
2022年9月に腫瘤再発があり、精査の結果、腫瘍は下部尿道や直腸肛門近傍まで浸潤し、左鼠径リンパ節転移および肝転移も確認された。積極的治療(放射線療法等)は検討されたが、家族と相談のうえ自宅での緩和ケアを選択。予後は3か月程度と見込まれた。本人には認知機能の低下もあり、病名は未告知のまま2022年10月に訪問診療を開始した。
介入内容と経過
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在宅での疼痛コントロールや全身状態の観察を継続。
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家族への緩和ケアの説明と心理的支援を重点的に実施。
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訪問看護との連携により、終末期特有の症状(疼痛・倦怠感・呼吸苦等)への対応を行った。
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初診からわずか2週間後、2022年11月5日にご自宅でお看取りとなった。
医療対応の詳細
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特別な医療処置はなし。緩和ケア中心の対応。
支援のポイント
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高齢で認知機能の低下もある中でのがん終末期支援であった。
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本人への告知は行わず、家族の意向を尊重しつつ、穏やかな在宅生活を維持した。
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家族が主体となって介護を行い、在宅で最期を迎えられるよう調整。
考察
本症例は、外陰癌再発からの短期間で在宅療養に移行し、家族の意向に沿った緩和ケアを実現できたケースである。本人の病識や認知状態を考慮し、家族の意思決定を重視することが支援の要となった。在宅での最期を迎えるにあたり、医療と介護の連携、家族支援が極めて重要であることを再確認させる事例といえる。
付記情報
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疾患種別:がん・内科系
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病名:外陰癌、鼠径リンパ節転移、肝転移の疑い、高血圧症、骨粗鬆症
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医療処置:なし
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エリア:名古屋市西区
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生活環境:長男夫婦と同居
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医療負担割合:1割
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専門医介入:あり(S医療センター)
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公費負担医療:該当なし
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障害者手帳・認定情報:記載なし