在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
独居高齢者、骨折後も在宅生活を安定して継続できたケース
基本情報
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年齢・性別:90歳・女性
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居住地:名古屋市千種区
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家族構成:独居。夫は他界。長女は市外在住で関係性が薄く、介護の相談は困難。次女は市内在住。
保険・福祉情報
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医療保険:後期高齢者医療(1割負担)
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介護保険:要介護1(1割負担)
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公費:丸福あり
診断名
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右大腿部転子部骨折
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慢性心不全
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深部静脈血栓症疑い
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高血圧症
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高尿酸血症
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便秘症
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過活動膀胱(OAB)
導入の背景
2022年7月、自宅で転倒しA病院へ救急搬送。心不全加療後に骨接合術を施行。8月にD-dimer上昇があり深部静脈血栓症が疑われたが、精査の後リハビリテーション病院へ転院した。リハビリにより屋内では歩行器、屋外ではT字杖で100m程度歩行可能となり、階段昇降・入浴・料理も可能な状態に回復した。11月に自宅退院となり、独居生活を支えるため当院が訪問診療を開始した。
介入内容と経過
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独居のため転倒リスクに注意し、起居動作時のめまいに対応。
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訪問看護と連携し、日常生活に必要な支援を実施。
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関係事業所とも良好な関係を構築し、情報共有を密に行った。
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介入開始から1年以上経過するが、再入院なく安定した在宅生活を継続している。
医療対応の詳細
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心不全や血栓症の再発に留意しつつ経過観察。
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血圧や尿酸値の管理を含む内科的対応を継続。
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便秘症や過活動膀胱に対する薬物管理。
支援のポイント
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独居であるため転倒・めまいによる事故リスクが高く、訪問看護との密な連携が重要。
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家族との関係性が薄いことから、医療・介護職による支援体制が生活継続の鍵となる。
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リハビリにより身体機能を回復できたことが在宅生活の安定化に寄与した。
考察
高齢独居でありながら、リハビリ・医療・介護の多職種連携により、骨折後も安定して在宅生活を継続できたケースである。家族支援が乏しい場合でも、専門職が連携して支援体制を構築することで、患者本人の自立度を保ちながら安全な生活を実現できることが示された。
付記情報
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疾患種別:整形外科・循環器・内科系疾患
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病名:右大腿部転子部骨折、慢性心不全、深部静脈血栓症疑い、高血圧症、高尿酸血症、便秘症、過活動膀胱
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医療処置:特記なし
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エリア:名古屋市千種区
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生活環境:独居
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医療負担割合:1割
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専門医介入:あり(A病院、リハビリテーション病院)
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公費負担医療:丸福あり
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障害者手帳・認定情報:記載なし