在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
長男と二人三脚で在宅療養を選択し、最期を迎えた慢性心不全患者のケース
基本情報
-
年齢・性別:87歳・女性
-
居住地:名古屋市守山区
-
家族構成:本人と長男の二人暮らし。他に関わる親族なし
保険・福祉情報
-
医療保険:後期高齢者医療保険(1割負担)
-
公費:丸福
-
介護保険:要介護4(1割負担)
診断名
-
慢性心不全
-
高血圧症
-
心房細動
-
僧帽弁閉鎖不全症
導入の背景
慢性心不全、高血圧症、心房細動、僧帽弁閉鎖不全症で通院加療を継続していた。2022年10月、蜂窩織炎でA病院に入院。その後ADL低下を理由にB病院へ転院となった。本人と長男の強い希望から「住み慣れた自宅で最期まで過ごしたい」という意向が示され、2022年12月より訪問診療を導入した。
長男は就労支援A型事業所で働いていたが、介護に専念するため休職。本人への強い想いから在宅療養を支える体制が築かれた。B病院のケースワーカーからも「本人と長男への丁寧な説明が在宅継続の鍵」と助言があった。
介入内容と経過
-
担当医が定期的に訪問し、本人と長男へ診療方針を丁寧に説明。
-
在宅酸素療法を導入し、呼吸状態の安定を図った。
-
長男と連携しながら、在宅での療養生活を支援。
-
2023年2月、長男が見守るなか、自宅で穏やかに永眠された。
医療対応の詳細
-
在宅酸素療法の導入・管理
-
慢性心不全に対する薬物療法の継続
-
長男への介護支援・説明を重視した診療
支援のポイント
-
強い家族介護力を前提に、在宅療養を可能にしたケース。
-
介護者である長男が休職までして介護を担ったため、医療側の「支える姿勢」と「丁寧な情報共有」が不可欠であった。
-
患者・家族の希望を尊重し、最期まで在宅で過ごす体制が整った。
考察
在宅療養の継続には、医療的支援だけでなく「家族の想い」と「医療者による伴走」が重要であることを示す事例である。特に単独の介護者が担う場合、医療側が丁寧に説明し安心感を提供することが、在宅看取りの実現に直結する。
付記情報
-
疾患種別:循環器疾患
-
病名:慢性心不全、高血圧症、心房細動、僧帽弁閉鎖不全症
-
医療処置:在宅酸素療法
-
エリア:名古屋市守山区
-
生活環境:長男との二人暮らし(他に支援なし)
-
医療負担割合:1割
-
専門医介入:あり(入院歴にて)
-
公費負担医療:丸福
-
障害者手帳・認定情報:なし