在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
受診を避けていた糖尿病患者、家族の支援で在宅医療へ移行できたケース
基本情報
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年齢・性別:68歳・男性
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居住地:名古屋市守山区
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家族構成:独居。妹が中川区から定期的に訪問
保険・福祉情報
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医療保険:国民健康保険(3割負担)
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介護保険:要介護2(1割負担)
診断名
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糖尿病
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高血圧
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脂肪肝
導入の背景
視力低下をきっかけにA眼科を受診し糖尿病を指摘された。その後Bクリニックを経て、2020年10月にはC病院で高血糖により初診。その後の受診は不定期であり、2021年6月を最後に中断されていた。
画像検査では悪性疾患の所見はなかったものの、内服コンプライアンス不良が続き、投薬が終了する状況に至った。下肢のしびれや痛みのため、つたい歩きでの生活を強いられ、外出困難に。妹が数日に一度訪問し、家事などをサポートしていた。本人は病状悪化に対して不安を抱きつつも受診には消極的であったが、家族の説得により2023年1月19日から訪問診療を導入した。
介入内容と経過
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訪問診療導入後も本人の拒否により介護サービスは未導入。
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内服管理が不良であり、生活習慣面も安定せず。妹の介護負担が大きい状態が続いた。
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2024年初め、介護保険の更新時期を迎えたことを契機に本人から継続希望があり、介護制度の利用につなげる素地が生まれた。
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具体的なサービス利用には至っていないが、訪問診療を継続しつつ生活基盤の整備に向けた調整を続けている。
医療対応の詳細
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糖尿病・高血圧・脂肪肝に対する継続的な内科的管理
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内服状況の確認・指導
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妹と連携した生活支援
支援のポイント
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家族の訪問が生活維持の大きな支えとなっている。
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本人が介護サービスを拒否しているため、医療だけでなく福祉的支援をどう取り入れるかが今後の課題。
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介護保険の更新をきっかけに意識変容が見られており、今後サービス利用への展開が期待される。
考察
本症例は「医療への不信感や消極性を示す患者に対し、家族の粘り強い関わりが訪問診療導入を実現した」ケースである。介護サービス導入にはまだ課題が残るが、医療が定期的に関与することで生活の不安定さが顕在化し、制度利用へ一歩踏み出す契機となった。
付記情報
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疾患種別:代謝・循環器疾患
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病名:糖尿病、高血圧、脂肪肝
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医療処置:なし
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エリア:名古屋市守山区
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生活環境:独居(妹が数日に一度訪問)
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医療負担割合:3割
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専門医介入:なし(初期通院歴あり)
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公費負担医療:なし
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障害者手帳・認定情報:なし