在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
105歳、超高齢患者における慢性心不全の在宅フォロー体制
基本情報
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年齢・性別:105歳・女性
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居住地:名古屋市千種区(ショートステイ:守山区)
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家族構成:独居(キーパーソンは息子)
保険・福祉情報
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医療保険:後期高齢者医療(1割負担)
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介護保険:要介護3(1割負担)
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公費:福祉給付金資格者あり
診断名
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慢性心不全
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洞不全症候群
導入の背景
Yクリニックで慢性心不全・洞不全症候群に対して内服加療を受けていた。2003年にペースメーカーを植え込み、その後2回交換したが、今回は電池寿命に達していた。年齢や全身状態を考慮し、主治医判断で交換は行わず経過観察。時折ふらつきはあるが大きな症状はなく、シロスタゾールを追加されていた。近年は本人が通院困難となり、息子が代わりに薬を受け取る状況が続いていたため、訪問診療の導入となった。
介入内容と経過
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2024年3月18日:ショートステイで初診。状態は安定、認知症所見なし。採血実施。
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以降は月2回ショートステイと自宅での訪問診療を併用。
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血液検査依頼(HBV・HCV・梅毒)対応。
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カロナール・グレースビット処方。腰痛改善により湿布中止。
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4月3日時点:体調・食欲・睡眠良好。排便も安定、胸痛・動悸も目立たず。
医療対応の詳細
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ペースメーカー(電池寿命切れ、交換は行わず経過観察)
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内服調整(シロスタゾール・カロナール・グレースビットなど)
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採血による定期チェック
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訪問診療とショートステイを組み合わせた生活支援
支援のポイント
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105歳という超高齢でありながら、意思疎通良好で在宅生活が継続可能。
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ペースメーカー非交換という選択を含め、高齢者医療における「治療介入と生活の質のバランス」を意識。
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定期的なショートステイと訪問診療の併用により、本人・家族の安心感を確保。
考察
超高齢患者では、延命処置よりも「生活の安定」と「安心できる体制構築」が優先されるケースが多い。本症例は、ペースメーカーの電池交換を見送ったが、訪問診療・看護・調剤を組み合わせることで安定した療養生活が実現している。今後も定期的なモニタリングと症状変化への即応が重要である。
付記情報
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疾患種別:循環器疾患
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病名:慢性心不全、洞不全症候群
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医療処置:ペースメーカー管理(電池交換せず)
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エリア:名古屋市千種区(ショートステイ:守山区)
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生活環境:独居(息子がキーパーソン)、ショートステイ併用
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医療負担割合:1割
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専門医介入:循環器内科(Yクリニック)
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公費負担医療:福祉給付金資格者証
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障害者手帳・認定情報:なし