在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
脳梗塞後のADL低下とメンタル不調を抱える患者、在宅での内科・精神科フォローを実現
基本情報
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年齢・性別:68歳・男性
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居住エリア:名古屋市中村区
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家族構成:妻・長男・次男との4人暮らし(キーパーソン:妻)
保険・福祉情報
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医療保険:国民健康保険(2割負担)
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介護保険:要介護3(1割負担)
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公費:福祉給付金あり
診断名
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脳梗塞(再発あり)
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高血圧症
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脂質異常症
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糖尿病
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うつ病
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身体表現性障害
導入の背景
2021年に脳梗塞、さらに脳出血や再発を繰り返し、徐々にADLが低下。近年では誤嚥も出現していた。
また、2015年頃からメンタルクリニックに通院しており、抑うつ気分や口腔内の不快感などを訴えることがあったが、内服調整により比較的安定していた。
しかし通院継続が困難となり、在宅での内科と精神科の両面からの継続的な支援を目的に、訪問診療導入となった。
介入内容と経過
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訪問診療開始(2022年11月9日)
内科・精神科の併診体制を整備し、在宅療養を開始。 -
訪問看護・リハビリ導入(2024年3月〜)
訪問看護が介入し、リハビリ利用も開始。本人はリハビリに積極的な姿勢を見せ、1か月足らずで訪問頻度が週1回から週2回に増加。 -
精神面の安定
精神科フォローでは、本人の訴えや家族の不安を共有しながら調整を進め、導入前に不安定であったメンタル面も改善傾向にある。
医療対応の詳細
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内科・精神科の2科フォロー体制を在宅で構築
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訪問看護・訪問リハビリによる身体・生活面の支援強化
支援のポイント
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複数疾患への包括的対応:身体疾患(脳梗塞後遺症・誤嚥リスク)と精神疾患の双方に対し、切れ目のない支援を継続。
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家族支援:妻を中心に介護する家族と情報を共有し、精神面の安定を重視した支援を展開。
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リハビリ意欲の活用:本人のモチベーションを引き出し、生活機能の維持・向上を図る。
考察
本症例は、脳梗塞後の身体機能低下に加えて精神的不安定さを抱える患者に対し、訪問診療と精神科フォローを併用する意義を示したケースである。リハビリへの意欲を活かし、看護・リハビリ・家族支援を重ねることで、生活の質と精神的安定の両立を支援できている。
付記情報
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疾患種別:神経疾患、循環器疾患、精神疾患、代謝疾患
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病名:脳梗塞、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、うつ病、身体表現性障害
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医療処置:なし
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エリア:名古屋市中村区
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生活環境:妻・長男・次男との同居
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医療負担割合:2割
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専門医介入:精神科フォロー継続あり
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公費負担医療:福祉給付金あり
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障害者手帳・認定情報:記載なし