在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
独居のうつ病患者、服薬支援と生活支援を伴う在宅医療の開始ケース
基本情報
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年齢・性別:71歳・女性
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居住エリア:名古屋市瑞穂区
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家族構成:独居(キーパーソンは別居の義姉)
保険・福祉情報
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医療保険:後期高齢者医療保険(2割負担)
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介護保険:要支援2(2割負担)
診断名
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うつ病
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高血圧
導入の背景
うつ病、不眠、不安、食欲低下によりMクリニックで通院加療を受けていた。義姉宅近くへ転居し、穏やかな生活を送っていたが、自宅で転倒しY病院へ搬送。以後、抗てんかん薬を一時期内服していたが現在は中止。通院継続が困難となったため、ケアマネジャーより訪問診療導入の依頼があり、当院での介入を開始した。
介入内容と経過
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初診(2024/3/15)
夜間は眠れており、食事は配食弁当を摂取。「おいしい」と話す一方、薬は2ヶ月間自己中断。不安感と気分の落ち込みあり。診察中は緊張が強く言葉少なめ。ドグマチール昼1回を再開、マイスリーを不眠時の頓服として処方した。
ケアマネより「電気が止まっても2日間そのまま生活していた」との情報があり、生活支援の必要性が確認された。 -
再診(2024/4/5)
高血圧コントロール目的でアムロジピン2.5mgを追加。抗うつ剤としてレクサプロ10mgを新規導入。
医療対応の詳細
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ドグマチール再開
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マイスリー(不眠時頓服)
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レクサプロ開始
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アムロジピン追加
支援のポイント
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服薬支援:薬剤中断が繰り返されるため、訪問看護・ケアマネと連携し、服薬確認・指導を強化。
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心理的支援:診察場面で強い緊張が見られるため、信頼関係構築を意識した関わりが必要。
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生活支援:電気が止まっても放置していた事例から、生活管理の支援体制を強化。配食や生活リズムの維持を重視。
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身体疾患管理:高血圧に対しては降圧薬追加し、今後もモニタリングと調整を行う。
考察
本症例は、独居高齢者における精神疾患・服薬不良・生活支援不足が複合して在宅療養にリスクをもたらすケースであった。訪問診療と訪問看護の連携を通じ、服薬・生活管理・心理的サポートを組み合わせることで在宅療養の安定化が期待される。
付記情報
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疾患種別:精神疾患、循環器疾患
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病名:うつ病、高血圧
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医療処置:なし
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エリア:名古屋市瑞穂区
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生活環境:独居(義姉がキーパーソン)
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医療負担割合:2割
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専門医介入:特記なし(通院歴あり)
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公費負担医療:該当なし
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障害者手帳・認定情報:該当なし