在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
複数の慢性疾患と尿閉管理を抱える高齢患者、在宅療養を継続できたケース
基本情報
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年齢・性別:97歳・女性
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居住エリア:名古屋市昭和区
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家族構成:本人、長男、義娘の三人暮らし
保険・福祉情報
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医療保険:後期高齢者医療保険(1割負担)
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公費負担:丸福
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介護保険:要介護5(1割負担)
診断名
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心筋梗塞
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脊柱管狭窄症
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糖尿病
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慢性心不全
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高血圧症
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鉄欠乏性貧血
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尿閉
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認知症
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便秘
導入の背景
もともとAクリニックで高血圧症、パーキンソン病、鉄欠乏性貧血などの管理を受けていた。2023年1月、咳嗽と低酸素血症を認めB病院へ緊急搬送され、肺炎の診断で入院。入院中にHOTと抗生剤治療を開始。肺腫瘤疑いにて胸腔穿刺を施行したが悪性所見はなく、肺膿瘍疑いとして抗生剤を4週間継続投与した。退院にあたり訪問診療を導入することとなった。
介入内容と経過
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慢性心不全:アゾセミドは入院中より中止。症状出現時に再開方針。
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高血圧症:ビソノテープ4mgを継続。
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鉄欠乏性貧血:過去に便潜血陽性があったが高齢のため精査せず経過観察。Hb低下に対して鉄剤を再開。2023年6月には吐血を認めたが、義娘と相談のうえ在宅で経過観察、PPIを短期間投与し改善。
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尿閉:入院中に尿閉を認め導尿施行。自然排尿困難であり膀胱留置カテーテル管理となった。当院で定期交換を実施。
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認知症:初診時HDS-R15点。周辺症状はなく、穏やかに在宅生活を継続。
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便秘:酸化マグネシウムを使用し、症状に応じて調整。
医療対応の詳細
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HOT導入(在宅酸素療法)
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膀胱留置カテーテル管理
支援のポイント
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家族(特に義娘)と日々の症状や対応方針について細かく相談しながら支援を継続。
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多疾患を抱える中で、症状ごとにメリハリをつけた対応を行い、過剰な医療介入を避けつつ在宅療養を支えた。
考察
複数の慢性疾患に加え尿閉管理を必要とする状況であったが、在宅でのケアと家族の理解・協力により療養生活が安定した。特に義娘が意思決定の中心となり、医療と家族が連携することで「入院を繰り返さず在宅で生活を続ける」ことが可能となった。
付記情報
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疾患種別:循環器疾患、整形外科疾患、代謝疾患、認知症
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病名:心筋梗塞、脊柱管狭窄症、糖尿病、慢性心不全、鉄欠乏性貧血、尿閉、認知症、便秘
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医療処置:膀胱留置カテーテル、HOT
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エリア:名古屋市昭和区
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生活環境:同居家族あり(三人暮らし)
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医療負担割合:1割
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専門医介入:特記なし(入院時に循環器・呼吸器科対応あり)
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公費負担医療:丸福
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障害者手帳・認定情報:なし